保有資格 » 仏検 1級
留学経験 » フランス(1995-1997) 職業等 » 衆議院議員 |
今回、国連英検特A級に初挑戦で合格することができました。初めてでしたので、一次、二次とも合格ラインがどの程度なのかが掴めていませんでした。素直に嬉しいです。
私は 2005年まで外務省に務めていました。ただ、外務省での専門はフランス語であり、お恥ずかしながら英語はお世辞にも得意とは言い難いレベルでした。今でも第一外国語はフランス語です。
2005年に外務省を離れ、今は衆議院議員(福岡9区選出)を務めています。国会議員として外国語の重要性を痛感しつつも、語学能力全般の低下に危機感を抱き、外国語のリ・スキリング(reskilling)を思い立ちました。
まず、第一外国語たるフランス語から始めて、昨年8月にはフランス語検定1級に合格しました。その後、国連英検特A級へのチャレンジに移行しました。実は国連英検特A級クラスの語彙になってくると、フランス語の知識がとても役に立ちます。英語では難単語に当たるものでも、フランス語では普通に使うというものがかなりあります。今回、一次試験ではフランス語からの類推で答えた問が 3-4問ありました。これらが間違っていたら、一次試験は不合格でした。つまり、他の合格者の方に比べれば、私の英語能力については不足している部分があるかもしれません。
元々、「The Economist」を読むようにしていましたが、国連英検特A級対策としてこれを強化しました。同誌は英国の知性を体現するような所があり、英語文化の中で幅広い国際情勢を把握するには最も適しているでしょう。また、意識的に洗練された表現、語彙を使っています。あの「The Economist」がきちんと読みこなせるようになる事が、国連英検特A級合格には一番近道ではないかと思います。世には色々な媒体があるものの、複数の媒体に触れればより伸びるというものではありませんので、私は「The Economist」だけでした。
また、単語については「究極の英単語 Vol.4」を買いました。50歳にもなると、なかなか頭に新しい単語が入って来ないのですが、それでもずーっと眺めていることで単語力は相当に向上したと思います。同書は単語の選択に若干のクセがあるのは事実です。しかし、これは程度問題であり、どんな単語帳にも起こり得ます。あれこれと目移りする事のメリットはありませんので、厳選して「これ」と決めたものに注力するのがいいでしょう。
そこから先は、恐らく「ひたすら過去問をやる」というのがいいと思います。大学受験でもそうですが、過去問ほど良い参考書はありません。しかも、この国連英検特A級の出題の仕方はとても特徴があります。まず、その特徴に慣れなくてはいけません。逆に言うと、過去問を通じて特徴に慣れると問題の傾向や時間配分のやり方は自ずと分かってくると思います。
試験本番では、大問一から八までを 1時間20分で終え、大問九の作文を 25分、最後の 15分で見直し、という大まかな配分を念頭に置きながら、実際も概ねその配分でやりました。
大問一の国連に関する知識については、「新わかりやすい国連の活動と世界」を熟読する以外に方法がありません。私は「昔取った杵柄で何とかなるだろう」とたかを括っていたら、10点中 4点しか取れませんでした。外務省出身の国会議員という属性であっても、手を抜けばそれくらいしか取れないというのは、これから目指される方には参考になると思います。「新わかりやすい国連の活動と世界」を熟読する、これに尽きます。
大問二が一番時間を要します。ここを後回しにするという方もおられるようです。私はその手法は採用しませんでしたが、時間管理ができるのなら、それも大いにありだと思います。ただ、後回しにした結果、焦りの要因になる可能性がある事は理解しておくべきでしょう。なお、上記で特徴に慣れる事が大事だと書きましたが、私は問20 の段落分けの問は、何度やっても正解が出せませんでした(本番でも間違いました)。
大問三の文法は近年難化しているようです。正直な所、今回の試験では、解答を見ても「ああ、これに気付くのは自分には無理だ」と思えるものが数問ありました。どういう対策方法があるのか、私にはよく分からないです。
大問四は、ここで書いていいのかどうかは分かりませんが、私は殆ど文章を読まずに解答しています。文章全体をきちんと読んで解答するほどの時間は私には作れませんでした。
大問五から八は、普段から多読し、単語量を増やす事によって対応するしかありません。例えば、大問五については、似たような意味を持つ選択肢が並びます。私は「こういう時にはこの言葉を使うよね」という、文脈を踏まえた相場観をとても大事にしています。その相場観は多くの英文に接すること以外では身に付きません。なお、私のフランス語能力が活きたのは、主として大問五、大問七です。
大問九である最後の作文はほぼ何の準備もせず、ぶっつけ本番でダーッと書いただけなので、皆様に共有できるノウハウめいたものがありません。
二次試験の面接についても、私は試験官の方と幅広い外交テーマについて歓談したというのが正直な感想です。何が良かったのか、何が足らなかったのか、については分かりません。
あえて英語を話すときのコツを述べるとするなら、常日頃から「発音記号」に注意するのが大事だと思います。日本語という言葉は非常に音の数が少ないです。母音の数も、子音の数も少ないです。そして、ヘボン式表記では(ア行を除く)すべての日本語の音が「子音+母音」で表されます。どうしても幼少期に学んだヘボン式の感覚(とカタカナ表記)に引きずられてしまいがちです。しかし、英語は音の数が多く、かつ、子音だけで発音する事が非常に多いです。これらのことをきちんと認識した上で、英語を学ぶ際に発音記号に注目して発音するようにすると上達するのではないかと思います。
あれこれと書きましたが、私は模範的な合格者ではありません。色々な手抜きをしています。なので、上記で書いたことのすべてが参考になるわけではありません。是非、各位で上記の情報の中で役に立つと思うものを取捨選択していただければ幸甚です。
保有資格 » 実用英検 1級 TOEICスコア 980点 国連英検 A級 IELTSスコア 7.5点 VERSANTスコア 72点 英単語検定 1級 留学経験 » 英国ウォーリック大学大学院(国際関係学修士課程修了)、米国フラー神学大学院(神学修士課程修了) 職業等 » 翻訳家、作家 KARIS翻訳サービス |
【はじめに】
初めまして。今回、国連英検特A級に合格した中村友彦と申します。この度は、国内最難関とされる特A級に合格でき、大変光栄に思います。神様に感謝し、そして妻をはじめ、支えて応援してくださった一人一人に心から感謝申し上げます。
国連英検との最初の出会いは、大学2年次にダブルスクールで通っていた NCB英会話教習所でした。そこで貧困問題に関心を持つようになり、大学4年次には A級と B級をダブル受験し、同時に合格しました。そして、若くして両親と兄を亡くした大人孤児としての経験や国連英検を通して学んだ世界の現状をきっかけに、境遇は異なるものの世界中で同じように苦しむ者の支えになりたい、ひいては貧困撲滅に寄与したいと強く思うようになりました。この夢を実現すべく、英国大学院留学、米国赴任、米国大学院留学、病院聖職者チャプレンの仕事など、様々な経験を積んでまいりました。同時に、英国コヴェントリーでは障害を持つ若者へのボランティア活動、米国ロサンゼルスではホームレス養護施設の子供たちへのボランティア活動など、社会正義を体現することにも従事してきました。このような 8年半にわたる海外経験の中で、受験の機会を得ることが難しい状況にありましたが、日本に帰国後、愛する妻の病気をきっかけに、新たな挑戦を決意し、3回目の挑戦で特A級に合格することができました。国連英検特A級は自身にとって長年目標としていたこともあり、合格を知った瞬間は、感慨もひとしおでした。この経験を通して、大きな喜びとともに、克己心や自己成長も得られました。
以下に 1次試験と 2次試験の対策について述べます。これから受験をされる方々の一助となりましたら幸いです。
【1次試験】
初挑戦では 100点中 52点と惨憺たる結果での不合格で、とても悔しい思いをしました。その後、再受験を決意し、「国連英検特A級は英語のオリンピック」と位置づけて挑みました。敗因を分析し、総合的なリーディング力を高めるため、多読トレーニングを実践しました。具体的には、ボキャビルとリーディングを主軸として、国連知識、問題読解、ライティングにも注力し、幅広い教材を活用しました。また、モチベーション維持のため、アメリカのドラマ『SWAT』を毎日視聴し、TOEIC や英単語検定1級も並行して受験しました。その結果、2回目の挑戦では 100点中 75点で合格することができました。
<使用教材>
◯ボキャビル
・『Roget’s College Thesaurus』
・『英英英単語超上級編』
・『究極の英単語SVL Vol.4』
・『国連英検特A級・A級対策』
◯リーディング
・『Foreign Affairs』
・『The Economist』
・UN News
・The Bible
◯国連知識
・『新わかりやすい国連の活動と世界』
◯問題読解
・『国連英検過去問題集』
・『国連英検特A級・A級対策』
【2次試験】
初挑戦では総合評価 7点で惜しくも不合格でした。正直かなり落ち込みましたが、くだらないプライドなど捨てて、素直に自分の足りないところと向き合い、再挑戦を決意しました。具体的には、耳に頼りすぎた学習傾向を改善し、視覚的学習も取り入れることで Knowledge の向上を図りました。また、自身のスピーキング力に頼りすぎるあまり話す内容や説得力に欠けていたことに気づき、自分の意見をより的確かつ説得力を持たせて表現するため、リスニングとシャドーイング、ニュース要約、意見発信のトレーニングに力を注ぎました。さらに、面接実践力向上のためにオンライン英会話や模擬面接を実施しました。このように、自身の足りないところとしっかり向き合い、適切なトレーニングを実践した結果、2回目の挑戦で総合評価 9点という高評価をいただいて合格することができました。
<使用教材>
◯世界情勢・国連の活動
・NHK World Japan
・UN News Daily Wrap
・Milestones in UN History
・The New York Times Morning Briefing
・『Understanding International Conflicts』
・『知らないと恥をかく世界の大問題13・14』
・『世界紛争地図』
・『新わかりやすい国連の活動と世界』
◯自分の意見発信力・表現力
・NHK World Japan
・UN News in Brief
◯面接実践力
・英会話レアジョブ(国際情勢のディスカッション、模擬面接)
・テソーラスハウス(プライベート体験レッスン、模擬面接)
・勉強会の仲間と模擬面接
・妻と模擬面接
・公式 国連英検2次試験モデルケース
・『国連英検特A級・A級面接対策』
◯モチベーションアップ
・受験前日、心の支えであり 300回以上観て全セリフを覚えた映画『Good Will Hunting』を視聴し、感涙に浸る。
<実際に2次試験で聞かれた質問>
・執筆した本の内容(面接シートから)
・フィリピンのストリートチルドレンについて(執筆本の内容)
・世界で5人に1人の子供が貧困で暮らしているが、その原因は何か?
・イスラエル・ハマス戦争に対する思いと見解は?
・イスラエルの自衛権行使に関する見解は?
・エジプトやシリアなどの近隣諸国は避難民をあまり受け入れていないが、その理由は?
・1945年の国連創設以来、日本が安全保障理事会の常任理事国になろうとしていることについてどう思うか?
・1ヵ国さえ拒否権を発動すれば国連決議を否決できるという現在の拒否権の行使力について賛成するか?
・アントニオ・グテーレス事務総長は中立的立場に立っていると思うか?
・最後に自身にとって関心のあるテーマで話したいことはあるか?
最後に質問された関心のあるテーマについては、「Interfaith dialogue and cooperation(異宗教間での対話と協力)」を取り上げ、それが近年の世界紛争の解決に寄与する可能性に言及しました。具体的には、「Not only talks but walks(言葉だけでなく実際の行動)」の重要性を強調し、国連が戦争関与国のリーダーらに対して互いの立場を理解し合う場を設け、それらのリーダーらが子供や女性を含む戦争被災地で苦しむ者に対して奉仕活動をするための枠組みを提供することを提案しました。自身が病院チャプレンとして異宗教間の医療チームで働く中で、目の前の人の人生が大きく変えられていくことを目の当たりにした経験を踏まえ、異宗教間対話と協力の可能性にも触れ、結果として面接官のお二方から大きな理解を得ることができました。
【おわりに】
合格という恵みを与えてくださった神様、そして支えてくれた家族、友人、仲間一人一人に心から感謝します。彼らのサポートがなければ、この合格は成し遂げられませんでした。最後に、これから受験を迎える皆さんに、私の心の支えとなる言葉を 2つお贈りします。「You never know until you try!」挑戦すること、また時に挑戦し続けることで、未知の可能性が広がります。「If you have faith when you pray, you will be given whatever you ask for.」そして、信じ祈りながら、その挑戦を楽しむことです。そのプロセスで得た学びをただ自身の中に留めるのではなく、行動で体現していくことで、あなたの世界観をどんどん広げていってほしいと思います。私の合格体験記を通して、あなたの心に少しでも響くところがありましたら幸いです。お読みいただき、心からありがとうございました。
保有資格» 実用英検 1級、通訳案内士、CELTA(Certificate in English Language Teaching to Adults)、TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages) 留学経験» カナダ 6ヵ月、イギリス6ヵ月 職業等 » 高校英語科教員 |
この度は、国連英検特A級に合格することができ、大変光栄に思います。噂には聞いていましたが、国連英検はいままで私が受けた英語の資格試験の中で、間違いなく最難関でした。過去に英検1級を習得し、ある程度満足していた自分を叩き直してくれた、本当にありがたい試験です。受験することで、必ずワンランク上の英語力が身につく素晴らしい試験です。私の体験談が少しでも受験を考えている皆様にとって有益になれば幸いです。
【一次試験】
一次試験の約8ヵ月ほど前から準備を始め、まずは過去問を解いてみました。すると圧倒的に語彙力、背景知識不足を実感したので、まずは手当たり次第に単語帳と The Economist、Foreign Affairs に取り組みました。The Economist は月2~3冊程度購入し、読みながら知らない表現などをチェックしました。Foreign Affairs に関しては、途中からデジタルの定期購読を購入しましたが、これが割安で、なおかつ kindle でも読めるのでとても便利でした。さらに世界史の知識に乏しかったので、国際情勢把握に役立ちそうな新書もある程度読むようにしていました。試験直前には時間を取って過去問を解くことで、時間配分、問題に取り組む順番を決めていきました。大問1 が国連に関する知識の問題についての出題ですが、以前は過去問から似たような問題が出る傾向が強かったようです。ただ最近は出題箇所が絞れなくなってきているようです。結果として対策が間に合わず、当日も 4点しか取ることができませんでした。毎日少しづつでも「新わかりやすい国連の活動と世界」の英語のパートを読むことをおすすめします。大問2 の長文読解については私は一番最後に取り組むようにしていました。このパートがどうも苦手だったので、他の取れそうな大問から解くようにしていました。英作文については過去問の模範解答を参考にして、使えそうな表現をピックアップしていきました。主に用いた参考書については以下の通りです。
【二次試験】
私は 2次試験に関しては 2回目で合格を頂くことができました。1回目は 1次試験に落ちてると思っていた関係で、お恥ずかしいことに完全に準備不足で臨むことになり、総合評価は 7点で不合格でした。参考までに試験官の方々に質問して頂いた内容を覚えている範囲で記載します。
試験官のお二方はとてもフレンドリーで、普段英語を話す機会があまり無い私にとっては、とても楽しい時間でした。それなりには答えられましたが、主張を裏付ける知識や根拠が圧倒的に不足しているのを的確に見抜かれたように感じました。そこで2回目に向けての改善ポイントとしては、① 国連に関係する機関について知識を増やし、しっかり語れるようにすること、② 会話をより流暢にすることでした。① に関しては、UN News や気になった国連機関のサイトをチェックし、スピーキングで使えそうな表現をピックアップしていきました。そして、それを会話で使えるように練習しました。② に関しては、基本的に誰かと英語で喋る時間が取れなかったので、独り言で英語を話すようにしていました。たとえば BBC や UN News などのニュースを聞いたらその内容を要約し、自分の意見を付け加えるという作業を行き帰りの通勤の車の中で行っていました。空いてる時間を使って同じことを英文を読む時にも行いました(読んだ内容を独り言で英語で要約→自分の意見)。この練習によって私なりにではありますが、少しは流暢に話せるようになってきました。そして試験 5日前から、信頼できる同僚と仕事終わりに 30分程度会話の練習をしてもらいました。2回目の 2次試験はある程度時間をかけて練習できたこともあり、少しは自信をもって臨むことができました。覚えている範囲になりますが、当日の質問内容は大体以下の通りです。
今回も試験官のお二人が大変フレンドリーな方々でしたので、15分があっという間に感じました。前回と違って、UNRWA、UNICEF、WFP、OCHA、IRENA あたりの国連関連機関についてしっかり語ることができたことが合格につながったと思います。ありがたいことに総合評価 9 で合格を頂きました。2次試験を 2回受けて感じたことは、最初に話す内容の方向性がとても大切だということです。1回目は自分から IAEA の話を振ったことで、原子力関係について、2回目は面接シートの関心がある項目に「世界平和、環境問題」と書いたことから、準備していたイスラエル・パレスチナ問題、COP28 の方に話を持っていくことができました。もちろん結果的に多岐にわたる質問を受けることにはなりますが、最初に自分が準備してきた分野の話で流れを作ることができると、試験官にも印象が強く残ると思います。さらに2次試験合格の過程で、ほぼ独学でもスピーキング力の向上が見込めたのは、私にとっては大きな収穫でした。
【最後に】
国連英検を目指す過程で、私に足りていない知識や英語力が強く実感しました。国連英検を目指していなければ、きっと諸外国で起きていることにあまり目を向けることなく暮らしていただろうなと思います。そういった意味で、私はまだまだ勉強不足であり、今回は幸運にも合格は頂きましたが、本当の意味での教養のある英語力に関しては、まだまだやらなければならないことがあるというのが正直な感想です。国連英検に示して頂いたゴールに向けて、また少しづつレベルアップしていきたいと思います。
また長期間にわたる学習になったので心が折れそうになったことも何度かありましたが、国連英検の合格体験記や Twitter(X) 上で、意欲的かつ謙虚に学習に取り組む英語学習者が数多く存在するのを励みに頑張ることができました。一人ひとりに直接お礼が言いたいくらいです。もし学習に辛くなったら参考にしてみてください。最後にはなりますが、私の頑張りを身近でサポートしてくれた妻と子どもと、いつも学習意欲が高く刺激的で、なおかつ仕事が忙しいにも関わらずスピーキングの練習に沢山付き合ってくれた同僚に心から感謝を伝えたいと思います。
保有資格 » 実用英検 1級 TOEIC スコア 965点
留学経験 » 海外赴任 ドイツ 職業等 » 会社員 |
この度は合格となり自分の中で一つの区切りがついたと思い、嬉しく思います。
私の場合は勉強ができる方でもなく帰国子女という経験もありませんのでかなり時間をかけましたがこの度合格できました。他受験者と同じく私も実用英語検定、TOEIC など受けたうえで次のステップとして国連英検特A級にチャレンジしました。試験会場では周りの受験者を見ると老若男女問わず様々な受験者がいるようでプレッシャーに負けてしまいそうになった感覚が思い出されます。
・使用した教材
1 国連英検過去問題集特A級 2019/2020年度実施
2 わかりやすい国連の活動と世界 : 国連英検指定テキスト
3 YouTube The Economist
・勉強方法 1次試験
まずは過去問を何度か解いてみることが最初のステップになろうかと思います。通常、多くの受験生が
* 大問1の国連知識
* 大問7,8の言い回し
* 大問9の英作文
に苦戦すると思います。大問1 はこれまで英検や TOEIC などでは問われない国連英検独特の知識問題です。大問7,8 は他試験で問われるレベルの言い回しを上回りますし、よりアカデミックで時事関連の記事に触れていないとあまりに目にすることのないフレーズを知っているかどうかも問われます。
大問9の英作文の難しさは短い時間内に一定の説得性を持った意見を長文で作成しなくてはいけないところです。また、添削指導などの対策のしづらさもあります。
過去問を解いて問題に慣れれば私の場合は積極的に試験に受けるようにしました。会社員の身分ですのでやはりあまり時間がないのと出張等でスケジュールが読めないので受検できる時に受けておくことがねらいです。ちょっと受からないだろうと思っていても受検することで自分はモチベーションにつながりその度に勉強する方向性が定まりました。また人生は短いので年2回の試験を「今年はまだまだ準備」と言っていてはその資格を取るのが 1年また 1年と遅くなるだけですのでここは自分を追い込むためにも受けるると決めてしまうのも一つの手です。とは言いつつ、受検料は安くないのでこの方法は経済的に余裕のある人か自分を追い込める人に限ります。
また、過去問の特に大問7,8 は出典元を辿り原文を読み込むことに時間も掛けました。よくあるのは大学の政治学、社会学の論文もしくは政府系機関の記事だったりします。出典元がわかれば著者を調べ関連記事も色々と読み漁るようにします。過去に出た問題が出ることはないと思いますがやはり空欄補充や言い換えの問題はそれだけ難しい単語であったりしますので読み進めていく中で自分が中々見ない表現だなとか思ったらそれは要注意です。出題者とてそれが間違えやすい、出題価値があると捉えるでしょう。
・勉強方法 2次試験
ここはひたすらに広範な知識を付けていくことが求められると思います。なぜなら面接官にあたる方がどういったことを問うてくるか、世界中で活動している国連の1点を取り上げてそれについてどのようなことを知っているか、どう思うかを聞かれるからです。YouTube など積極的に活用し世の中の色々なニュース動画を見ることで何が起きているのかを読み解いていくことが早道だと思います。The Economist は要点がまとまっている、社会問題の原因と取り組みが短くまとまっておりわかりやすかったです。 Excelで資料をまとめてシートごとに
「ウクライナ-ロシア問題」
「ロヒンギャ移民」
「温室効果ガス」
「中国のアフリカ投資」
などにしてキーになる事象や表現などをメモしていくなどもしていきました。この話題になった時は一般的に認知されている状況と自分の意見を常に説明できるような状況に仕上げていきました。
・まとめ
山積する社会問題についてどう思うか、世の中で提示されている解決策に対して自分はどう思うかを様々な角度から説明すると同時に熱意をもって取り組む。私が思うに国連英検勉強の本質とはここにあるのではないかと思います。それは英単語を覚える、フレーズをたくさん覚えるだけのこれまでの勉強から脱皮し、言語を運用することで自分の議論を形成し相手に理解してもらう、交渉して実現することを主眼としているように思います。
前述の通りあまり自分もできる方ではないので合格まで時間はかかりましたが勉強していく中で実際に資格、試験などを抜きにしてももう少し深堀してみたい、日本とは全く異なる環境の世界にある社会問題へのどの向き合い方に自分は賛同できるかを考えるようになりました。
こういった自分の志向を重ね合わせていくことで国連の活動がより自分に近いものに思え、試験勉強をしているというよりは様々なニュース記事に触れ、自身の意見の妥当性をサポートする資料を探す、もしくは自分の考えの誤りを正す、その中で知らない単語や言い回しに出会い記憶に残るということが繰り返されるようになりました。
例えば私はドイツに赴任していたことがありドイツの社会問題である移民について実生活に重ねて興味、関心を持っておりました。最近ではメルケル政権にて移民を大量に受け入れた結果、犯罪の増加や宗教問題が頻発しており、国民感情の右傾化がありつつも反発した勢力もあり中々混迷した状況です。
自分は移民に賛成か、反対か?
それはなぜか?
日本も海外から労働者受入制度があるがどう考えるか?
どういう条件なら良いと思うか?
現状のどこに問題があるか?
そのような問いの答えを意見として持つことでより問題は自分事にできるようになりました。
あまり偏った考え方に囚われることは好ましいことではないですが自分がどう考えるか、どのような意見を持ちそれがあるからこそ人は熱く語れるということもあるかと思います。そして国連英検で問われている英作文や、2次試験は英語能力の高さや正確性も必要ですが決められた時間で自身の考えを述べていく必要があります。そんなときに自分が興味、関心持っている分野であれば自然と書く内容や話す内容はあふれ出てきます。むしろ相手に伝えたい、相手に共感してもらいたいという気持ちであれば話すことが思い浮かばないというようなことはないと思います。
今後も自己研鑽を積み、微力ながらも社会課題に向き合っていきたいと思います。
保有資格 » 実用英検 1級 TOEIC スコア 960点 全国通訳案内士
留学経験 » 無し(駐在などの海外在住経験も無し) 職業等 » 会社員 |
この度は、合格体験記を記させて頂く機会を与えて頂き誠にありがとうございます。
本試験を受験希望、或いは既に受験されている方々の興味は多くその合格に在られるかと思いますので、私的な経験を踏まえた準備方法を紹介させて頂きます。
私が準備において留意したのは以下の 3つです。
1. について
方針として、過去問をチェックし正解となる或いは正解を導き出すに必須となる語句で、自身が知らなかったものがなるべく多く記載されている英単語句集に絞って利用しました。
何故なら事実として、もしその回に受験していたら私は正解できなかったはずだからです。
先ず、当たり前ですが本試験の共通ルールは英語という言語に従い自身の理解を解答せよという事であり、また問題文として使われる文章の意味把握、語法の正誤、類義語との区別といった事項を(一般的な日本での英語教育を受けた程度の受験者にとっては)非常に高いレベルまで求められる設定になっています。従って、もし過去問で試してそのレベルに達していない場合は補強すべきであるのは自明であり、この過程は自己分析とも言えます。
上記観点から過去問は最重要教材であり、公式に出版されていますので是非入手されることを強くお勧めします。
また、具体的な英単語句集ですが、過去の合格体験記に多く紹介されているので、もし使用される場合はそれらを選択肢にされるのも良いかと思いますが、書店でパラパラとめくってみた限りでは、上記に当てはまるボキャブラリーは日本の英語試験の最メジャーである某試験の最上級用単語集などでは私の場合殆ど見当たらず、その時点で、本試験は同級の試験を上回る語彙の習得が必要と確信しました。
2. について
方針として、グローバルなトピックと日本の大きなトピックについて、その状況と捉え方を自分の中でアップデートする様にしました。
何故なら、上記 1.でルールとしての英語で求められるレベルがわかったとしても、本試験の舞台とも言える国連と世界(及びその一つの国である日本)の情勢や経緯を全く分かっていない場合立ち向かえない内容の試験となっているからです。
これは本試験の最大の特徴であり、平均的設定でそこそこの題材によるモデルケース的内容の謂わば表面をなぞる様な舞台設定ではなく、世界的な課題やその理解の核心に触れる様な内容が本試験の題材・トピックとして採り上げられます。
実際、実社会でもコミュニケーションが生まれる瞬間は、その先に必ずレベルの差はあれ本人の見識に伴う物事の理解・判断が問われる瞬間があります。この試験ではその舞台が、世界のトップリーダーが集う国連レベルのグローバルな内容になっていると思います。
上記観点から、先ず舞台の中心プレーヤーである国連に関する一定の理解は必須であり、ガイド本も公式に出版されていますのでこれを利用されるか、或いは更に深く理解されたい方は関連文献・書籍で把握に努められるのがよろしいと思います。
日頃から英語の国際報道や政治・経済誌などに目を通されている場合はそれを継続しアップデートすれば良いと思いますが、そうでない場合は何か定点観測できる媒体を選び利用するのも一法です。私の場合、NHK の英語ニュース番組を見る以外は、エコノミスト誌等と UN News を 2、3週間に一度程度まとめて目を通すので精一杯でした。
3. について
方針として、国連を取り巻く課題について、そもそも何故そうなっているのか本質的な部分を考える様にしました。
何故なら、合格体験記でその様なトピックがキーとなっていたのだろうと想像されるものが散見されたためです。
面接においては受験者自身に関する話題で発音・流暢さなどのレベルはほぼ即座に判定され、合否は突っ込んだ質問への応答で決まると推測しています。何故なら、試験者側はある程度の受け答えは既に想定しているはずであり、質問意図の理解、納得性を増すための発話テクニック、そしてそれらを支える知識が足りないと、結果として薄い話となってしまい、結局、前半の話しぶりも影をひそめるので更に減点され不合格に至るためです。
上記観点から、対策は非常に難しいと言えます。何故なら質問は様々な切り口から出すことができ、個別に対策していくのは至難の業だからです。(これがトピックを選択できる試験との大きな差)
一方、物事の本質は実は普遍的な場合が多くあります。例えば、ビジネスにおける人権への係り方の向上は 2011年の国連での「ビジネスと人権に関する指導原則」の発表が大きなきっかけになっているのですが、それは各国の自主性を宗としながらも例えば企業の国際評価に影響する事でその対応が促されるからです。実際、「COP28 でいろんな施策が進んでいるが拘束性が無く、トップダウンの施策が必要と思うか?」との質問を受けましたが、これも実情としてトップダウンの施策がなかなか難しい事を考えると本質的な対策は同じだと思います。
因みに、面接対策の本も公式に出版されていますので、気になる方は是非参照されてみるのが良いでしょう。
ルールを制する者がゲームを制すと言われますが、現在、事実上の国際言語は英語であり、日本語は国連の公用語にも入っていません。一方、世界ではとても一国では解決できない問題が多発しており、またコミュニケーションツールの発達により、今後、更に国際間のやりとりが国家・企業・個人でも増えてくるのは自明であり、ルールとしての英語があろうと発信・受信することで多くの山を乗り越える必要があります。上述の様に、物事の本質は同じである場合も多く、国連に関わる事象について考え回答を出すプロセスは、実は、身の周りや企業内のプロセスとレベルは違えども同様であり、もしかしたら本試験はそれができる人材を少しずつでも輩出するべく遥か数十年前より組み込まれて来たのかと思いを馳せています。
以上、最後になりますが、本稿内容がもし少しでもこれから受験される方々のお役に立てばと祈念しております。
保有資格» 実用英検1級 国連英検A級 職業等 » 高校教員 |
国連英検特A級に合格できましたことを大変光栄に思います。このような機会を提供していただき、どうも有難うございます。
特A級合格に向けて実施したことは英字新聞『The Japan News』の徹底利用です。新聞は以前から定期購読していましたが、斜め読みする程度の扱いでした。受験を決めてからは、大半の記事の Headline および Lead(第1段落)に目を通し、大まかながらも 5W1H の把握に努めました。これは大問VI 対策として最も有効だと感じています。大問VI は一見どの選択肢でも可能に思えるのですが、英字新聞特有の言い回しがあります。その感覚を養っておくことで、大問VI に多くの時間を割く必要がなくなります。
同紙に毎日掲載されている『The Washington Post』の記事は隅々まで読みました。意味が不確かな単語は読み飛ばすことはせず、類似語辞典で確認し、語彙力向上に努めました。また、記事を 1つ選び、100単語程度で感想を書き上げることを日課としました。これらの作業は大問VII の類義語選択、および、大問IX のエッセイに役立てることができました。
2次試験に向けては、日課となっていた感想文を書き上げた後、口頭で簡潔に説明する練習を行いました。それ以外には、通勤時間などを利用し、合格体験記に記載されていた面接テーマを題材に、英語で語る練習を重ねました。実際の 2次面接では環境・貧困・紛争問題が取り上げられました。貧困問題について「日本で子育てをする母親」としての回答が求められたときは少々戸惑いました。なぜならば、現在子育て中の自分には、その問を客観視し、一般論として語ることが困難だったからだと思います。2次面接においては、あらゆる Stakeholders の視点(当事者としての視点も含む)を分析しておくと役立つと思います。
最後に、国連英語検定特A級を目指すきっかけを作ってくれた生徒たち、および、受験準備をする私を応援してくれた家族に心から感謝します。
保有資格» 実用英検 1級、TOEIC スコア 960点、TOEFLスコア 111点、DELF B2
留学経験» インドネシア 8年、アメリカ 4年、フランス(4ヶ月) 職業等 » Soka University of America(2023年5月卒業) |
【はじめに】
試験の運営のためにご尽力いただいた日本国際連合協会の皆様に心より感謝申し上げます。
振り返ってみれば、高校生の頃にあと数点で不合格になって以来、この試験を受ける機会がなく、すっかり忘れていましたが、同じく特Aを合格したある友人に触発を受け、大学を卒業し日本に戻ってきたこの機会にもう 1度受けようと思い、受験をしました。上位合格を目指しましたが、1次・2次試験ともに、対策にほとんど時間をかけることができなかったため、満足のいく点数での合格にはならず、正直悔しい思いが残ってしまいましたが、これを機にしっかりと英語の勉強をしたいと思います。試験対策はほとんどできなかったものの、1次・2次試験本番では、自分を信じて己の実力を発揮できたことが、今回の合格に繋がったのだと思います。
【対策(というよりも、心意気・気概)について】
1次試験、2次試験の対策ともに、他の合格者の皆様が丁寧に書かれている通りだと思います。数ある対策方法の中から、現在の自分の状況に合うものを見つけ出し、自分なりに模索していくのが大切だと思います。試験勉強に割ける時間は人それぞれですので、試験までの残り日数を考えて、今一番何をすべきかを明確にしながら、自分の弱みと向き合っていくのが最良かと思います。
1次・2次試験の受験を踏まえて、自分が思う効果的な対策法を参考までにあげておきます。
【1次試験】
【2次試験】
【最後に】
何よりも、言語の勉強は、人それぞれスタートラインも違えば、進むスピードも違います。多くの優秀な合格者の皆様の体験談を読んで、不甲斐ない自分と比べて、自信を失くしたことがあるのは、きっと僕だけではないはずです。今更言語の勉強をしてもしょうがないと思っている人も、ひょっとしたらこの中にいるかもしれません。しかし、どんな時でも勉強を始めるに遅すぎることはありませんし、何より大切なのは継続だと思います。何度落ちようが、何度挫けようが、それでも挑戦していく中に、人間の本当の強さと輝きがあると思います。1発で合格することよりも、諦めずに何度でも立ち向かっていくことを学ぶことに、この試験の本当の意味があるのかもしれませんし、その挑戦にこそ誇るべき勇気があると思います。その意味で、今の自分がどうであれ、周りに馬鹿にされようが、君には無理だと言われようが、最後には必ず勝つとの気概で、勇気を持って、負けじ魂で挑戦することが大切だと思います。そして、試験に合格したとしても、そこで満足するようなことはせず、先を見据えながら、更に険しい英語学習の峰を登攀する勢いで、一生涯勉強を続けていけたらと思います。
もし、これを読んでくださっている皆様が、この試験は難しくて自分には到底無理だと思って諦めていたとしても、僕は決してそうは思いません。プレッシャーや不安に苛まれながらも、歯を食いしばって努力し続けていけば、気づいた時には、自分が想像もしていなかった境地に辿り着くことができると、僕は信じています。今後、特A級に挑戦される皆様が、自信を持って受験の日を迎え、更に 1人ももれなく合格できますよう、英語学習の同志として、心から応援しております。一緒に頑張っていきましょう!
保有資格 » 実用英検 1級(優秀賞)(1998)、BA(1978)、MA1(1981)、MA2(1986)、PhD(2019)
留学経験 » 1974年より海外生活 職業等 » 元国連職員、エラスムス大学大学院研究員 |
元国連職員が国連英検特A級を受験すると
受験に向かって
24年勤務した国連事務局(スイス、ジュネーブ)を退官した 2013年、私は学究の場を求めてオランダのハーグに住居を移しエラスムス大学(Erasmus University Rotterdam)の大学院研究所(The International Institute for Social Studies)で 開発学 (Development Studies) の博士課程を開始した。そして 2019年に博士号を取得した後、国連英検特A級の受験勉強にとりかった。就活の一環として、また自分自身の英語学習のマイルストンの達成の意味合いがあった。しかし、国連英検は受験の経験がなく、身近にアドバイスを仰げる合格経験者はいない。特A級に特化した学習の参考になる動画を探しても、合格者が経験を手短に述べるものだけだった。
そこで、自分の受験勉強のため、そしてほかの受験者が参考にできるものが作れるのではないかと思い、Dr Cape 名 で当時の主な時事問題(コロナ禍、トランプ政権、英国のEU離脱、香港人権問題、東京オリンピック、等) についてエッセイ(44本)を作成して YouTube で配信した。と言っても、これらのエッセイを動画に仕上げてくれたのは、北海道の釧路で「ASK本校」という英語の私塾を経営されている山本恵子さんで、この企画は 2020年7月から 2021年4月まで約9か月続いた。ちなみに山本さんは 2018年度第1回の国連英検で特A級に合格され、彼女の体験記は事務局のホームページに掲載されている。
2020年に一時帰国して受験しようと申し込んだ第1回検定(1次試験 5月、2次試験 7月) がコロナ禍で中止となり意気消沈。そして国連コンサル業務やヨーロッパでの教職の仕事などで多忙の中、帰国して受験することが少しずつ面倒だと思うようになる。YouTube で英語学習の動画を見ていると大阪弁の高齢の男性が主催する「磯田塾」というサロンが好評の模様。毎週Zoomでチャットをしていると知り、仲間に入り学習談義をしているうちに、実用英検1級合格を目指しているメンバーの手助けをするようになる。塾を離れる 2022年末までの 1年半の間、英作文の添削(約800本) と口頭試験の練習(100時間以上) を行った。結果、10名以上のメンバーが1級に合格した。私は彼らの伴走者として貢献できたと思う。
国連検定受験を最初に思い立った2020年に、直近(正確には 3.5年、7回分)の特A級の過去問題を試しに解いたところ、英作文を除く 80問の 4択問題 75-85%の正解を得た。正直なところ、学術研究に没頭してきた私には、事務局指定テキストの内容には満足できなかった。そのため、指定教本に関しては一通り目を通す位に留め、国連関連のほかの学術書を入手、多読した。国連とのコンサル業務では経済分析の報告書を通して時事問題を考察した。(これまで英語での読み書き、会話、討論が日常活動だったので、私の 2次試験対策は時事問題に精通することだった。)
国連英検特A級の英語について私感を述べてみたい。この特A級の試験問題に現れる英語は語彙、文法、語法のすべてにおいて知的で高レベル、そして問題文の内容も専門性が高い。確かに短期の詰込みだけでは合格が難しい試験であることは間違いない。従って、やはり長期間をかけて積み上げた知識や教養に裏打ちされた合格者の英語能力は重みがあり長持ちすると思う。私は、言語能力の基盤となる語彙の拡大を多読で培った。まず 4年間 (1974-78) 大学生活を米国で送り、教科書や副読本などの学術書から、一般教養および専門分野(政治学と経済学) の語彙を身につけた。また卒業間際には、米国の大学院へ進学するために必要な共通試験(GRE)に、向けて教本を開き頻出語彙を身につけよう努力した。大学院では時間があれば専門書(政治、経済、歴史、国際関係、開発外交、アジア地域研究、など)を読み、理解でき使える語彙を一層増やした。
日本の検定のための英単語の語彙に関して、私は単語帳暗記の努力は余りしていない。合格者諸氏の体験談で列挙されている著名な単語帳(英検1級レベル以上)のチェックはかなり以前に概ね終了していた。というのは、私は 1998年に実用英検1級を受験し、その前に目を通し終わっていたからである。この時は合格証のほかに優秀賞を受け取った。言うまでもなく、国連英検には時事問題が多く出題されるので受験準備中は、メディアに登場する新しい語句などには留意するよう心掛けた。日本の英語学習者にとっては「中辞典」に相当するウィズダム英和辞典(三省堂、2,350ページ、見出し語 70,000強)を 2022年と 2023年に一回ずつ通読した。また YouTube で配信された「ASK本校」の国連英検特A級対策の英単語集を吟味したほか、「オレノドウガ」の難しい英単語を最後まで呆れながらも学習した。
ドタバタ受験回顧録
コロナ禍も収まった 2022年日本での就活(大学大学院での教職)を考えるようになり、その一環として翌年の 2023年に特A級検定試験を受けることを決心した。2023年度の第1回の検定は 1次試験が 5月に行われた。ウクライナ戦争によりロシア領空を避け南に大きく迂回するルートを通って関西国際空港(関空)から入国して、大阪の会場での受験となった。結果はなんと不合格...。十数時間の長旅の疲労と時差ボケもマイナス要因だったが、直接的な敗因は日ごろあまり身につけない腕時計だった。ふと気づくと電池が切れてしまっており、会場の大学教室には壁時計がかかっていなかった。試験開始後しばらくして監督官に動かない時計を見せ時間経過を聞いて驚いた。戦略的意味合いで、まず最初に配点が 20%の大問9 の英作文から始めたが、なんと合計試験時間 120分のうち 65分(約55%)使ってしまった。慌てふためき、緊張と焦りが一気に体内に充満、他の問題文を読んでもなかなか頭に入らない。その結果、30問以上の 4択問題が手つかずとなり、マークシートの解答欄を無作為に塗りつぶすことになった。そして結果は、前述のとおり不合格。試験が終了から約1か月後に届いた不合格通知によると合格ラインまであと 4点だった。
1次試験不合格の数か月後、気を取り直して 2023年度第2回の検定試験(1次試験 10月下旬、2次試験12月中旬) の申し込みをした。1次試験日の 3日前に関空に到着、実家の福井に行き、届いている受験票と受験関連の連絡事項を吟味して一泊、翌日に大阪へ移動してホテルに一泊、翌々日の正午前に試験場に向かうという予定を組んでいた。
帰国予定の朝アムステルダムの空港に着くと、異常な濃霧により空港が平常の機能ができてないとのこと。搭乗予定の便は、KLMオランダ航空と提携するエアフランス(AF)便、パリで乗り換えて関空に向かうことになっていた。とにかくチェックインを済ませ、手荷物検査も終え、搭乗予定の AF便のゲートまで行ったが、そこで待機することになった。数時間後、待ちくたびれ乗客全員にこの便のキャンセルが告げられた。私は空港からの少し離れたホテルで一泊することになった。KLM によると翌日の帰国便は自社の直行便とのこと、乗り継ぎなしとなれば旅は楽になるかもしれない。しかし、アムステルダム空港で丸一日足止めされているため、関空到着後に福井の実家に行っている時間が無い。つまり受験票を取りに行くことができない。アムステルダムのホテルから国連英検事務局にすがる思いでメール連絡し事情を知らせると、試験会場で新しい受験票を受け取ることができるように手配するという「神の返答」。
結局、試験の前日に関空に到着し、外国人観光客でごった返す空港から直接大阪のホテルに向かいチェックイン、この時点でオランダのアパートを出てからすでに 40時間近く時間経過しており、その間睡眠はあまり取れていなかった。試験当日私は極度の疲労、睡眠不足、時差ボケ、それに加えて受験票が手元にないという一抹の不安を抱えながら試験会場に向かった。会場ではすぐに事務局の係官から新しい受験票が手渡されまずは一安心。
この回の 1次試験自体に関してはあまり記憶がない、ただ腕時計には新しい電池が入っており、針の動きをチラチラ見ながら、前回同様まず最初に大問9 の英作文(配点 20%)を片付けてしまおうと心掛けたことは憶えている。それでも一旦書き始めると筆が止まらない、書きたいことがありすぎる。結局、試験時間 120分中 35分(約30%)使って大問9 の英作文を無理やり終了。動く時計を見ながら書いていたにもかかわらず、前回ほどではないが、英作文に時間を使いすぎてしまった。その結果、1次試験の中で一番の難問で、受験者の英語能力の差がきわめて明らかになる大問2 の 4択10問が手付かずで残ってしまった。しかたなく、解答欄を無作為に塗りつぶしたところで試験時間終了。後で答え合わせをすると大問2 の 10問中正解はなんと1問のみ、不運すぎる。特に大問2 が扱った「気候変動の否定論争」は私が興味を持っていた課題だっただけに、「時間さえあったならば」と悔しい思いをした。
オランダに戻り、1次試験結果の公式通知を妹経由で待つが音沙汰が無い、試験が終わってもう 1か月経過していた。事務局のホームページによれば通知はすでに郵送されたらしい。YouTube にも 1次試験の結果を公表している受験者の動画が出始め、合格ラインが 72点であることを知る。事務局公表の正解と照らし合わせると、大問1,2,3 で合計30点満点中11点(各10点満点中それぞれ 5,1,5点)しか取れていない。残りの 4択の大問4,5,6,7,8 では合計50点満点中44点(各 9,8,9,10,8点)だが、合格のためには、残りの大問9 で 20点満点中17点以上とらなくてはならない。時間にせきたてられた作文だったので、文法やスペルのミスも残っているかもしれない。
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保有資格 » 実用英検 1級 TOEIC スコア 950点 米国公認会計士 留学経験 » 小学校 5年の終わりまで父の仕事の関係でアメリカのシカゴに在住 職業等 » 外資系金融機関勤務 |
国連英検A級の合格通知と併せて、事務局より合格体験記依頼のお手紙も同封されており、とても嬉しく光栄に思いました。
この試験は英検や TOEIC と比較して、情報量がとても少なく、私自身も受験にあたって、情報収集に苦労しました。私の体験記がこれから受験される方に少しでも役に立てればと思います。
まず難易度ですが、イメージ的に英検1級とほぼ同じレベル感だと思います。
国連英検の上位級(SA及びA)と英検1級の最大の違いは、① 国連知識に関する大問がある。② 英文法の大問がある。③ リスニング問題がない、の 3点だと思います。
【1次試験対策】
まず、① の国連知識に関する大問対策ですが、こちらはどの合格体験記にも記載されている通り、日本国際連合協会 『新 わかりやすい国連の活動と世界』 をしっかり読み込むことだと思います。
ただ、私もこちらのテキストを購入して初めて読んだ際に、正直字面を追っているだけで意味が全く分からず、3ページ目位で眠くなってしまいました。
そこで、You Tube で大人の為の世界史講座のビデオを見つけてそちらも併せて見ました。そうすることで、国連が出来るまでの世界の歴史の歩みの大枠を理解することが出来ました。
国連知識の大問とは別に、実際の試験問題では昨今の国際情勢をテーマとした長文も出題されますが、根底となる歴史の背景の理解をすると長文も理解しやすくなるので、とても役に立ちました。
ちなみに、私が見ていたビデオは代ゼミの世界史講師、佐藤幸雄先生のユーテラというチャンネルです。
次に 1次試験において大切な単語対策ですが、私が使ったのは『究極の英単語 SVL Vol.4 超上級の3000語 (究極シリーズ) 』です。
ほかにも購入した単語関連のテキストは数冊あります。ただ、買っただけで満足してしまい開かないまま終わってしまいました。しっかりやりこんだのはこの 1冊だけです。
またこの 1冊と併せて、過去問題をやった際に分からなかった単語も覚えるようにしました。過去問題に載っている単語は、実際に試験に出ている単語ですので、また出る可能性も高いと思います。
また、なるべく一日一度は国連のホームページを開き、一面に出ている記事を最低一つは読むようにしました。その記事の中で分からなかった単語もノートに記載して併せて覚えるようにしました。
こうすると、SVL、過去問の単語、UN のホームページの単語、とボリュームがかなり出ます。
また参考書で覚えた“つもり”の単語もいざ、実践の長文などで見ると“どこかで見た気がするけど意味が分からない”ということもよくあり、やはりインプットとアウトプットの両方からのアプローチの大切さを感じました。
文法問題対策ですが、ブログなどで見つけた体験記を拝見すると多くの方が文法セクションで高得点を出されていますが、私にとっては苦手なセクションでした。
使ったテキストは、三修社出版『グローバル・エキスパートを目指す 上級時事英文法』と旺文社の『ロイヤル英文法』です。
問題を解き、間違えたところは解説をよみ、それでもわからなければ、ロイヤル英文法で該当箇所をさがして読みこむ、という方式です。
ただ、上級時事英文法は絶版しており、入手するのにとても苦労しました。ぜひ、三修社出版に文法問題に特化した参考書の新刊をリリースしてほしいと思います。
長文対策に関しては、三修社出版の国連英検過去問題集A級 2021/2022年度実施、国連英検過去問題集A級 2019/2020年度実施そして国連英検特A級・A級対策をやりました。
試験問題の長文を見た際に、気持ちがひるまないようにするためにはやはり普段からの練習がすべてですので、一度解いた問題も後日、声に出して音読をしたり、日本語訳をみながら自分の訳とあっているか確かめながら復習をしました。この一連の作業だけでも結構時間がかかりますが、音読は 2次の面接対策にもなりますし、会話練習にもつながるので、地味ですがとても有効な勉強方法だと思っています。
【2次試験対策】
国連英検は試験問題も持ち帰れますし、数日後に解答速報も出ますが、私は速報で答え合わせはせず、発表日に QRコードで 1次試験の合格を確かめました。
10/22 に 1次試験を受け、結果が 11/22日発表されました。2次試験は 12/10でしたので、発表から 18日後に 2次試験を迎えることになります。
結果が出るまでの間、面接対策も兼ねて、三修社出版の国連英検 特A級・A級 面接対策を購入して何度か読み返しました。
こちらは面接官が受験者に対して質問をし、合格の解答例、まずまずの解答例、そして、不合格の解答例の 3パターンが記載されています。
これを基に自分に置き換えて、同じ質問をされた場合、どう答えるかを考え、ノートに記載しました。また、併せて自己紹介シートもまずは埋め見て、それに合わせた想定質問を考え、どのように答えるかの練習もしました。
英検1級は当日渡される複数のトピックの中から一つ好きなものを選んでスピーチをする、という方式ですが、国連英検の場合は質問されたことをベースに会話を展開させていく、というスタイルです。
従って、ある程度自分にとって興味がある話題、聞いてほしいこと、を話すことが出来ます。私は○○に興味があります。という自分の発信に対して面接官の方がいろいろ質問をしてくるので、○○に対して必要な知識を持っておく、それを英語で表現、説明できる、なぜ興味を持ったか説明できる、など、自分が面接官の立場だったら、想定される質問を考え、答える練習をすることが大切だと思います。
そして、結果待ちの 1ヶ月半の間に自分が興味を持てるものを見つけて置くことも大切だと思います。模範解答に XX と書いてあったので、それと同じにする、というアプローチでもいいのですが、興味がないものを調べたり、それに対して議論を展開させていくのは苦痛を伴うものです。国連機関及び国際問題は幅が広いので、必ず自分が興味・関心がある分野があると思います。それを見つけ、掘り下げて、自分の身近な問題として捉え、コミュニケーションを英語でとれるように練習、準備することは楽しい作業でもあります。
頭の中で練習しても、当日は緊張していますし、私は緊張すると早口になってしまう癖があるので、なるべく日頃から声にだして実際に英語を話して練習をしました。例えば、道を歩きながら、電車をまっているとき、などもぶつぶつ声に出して練習をしました。
そうして練習していると、この部分を説明しようとすると、言葉に詰まってしまう、など、弱点が見えてきます。
面接はキャッチボールなので、台本通りには行きませんし、当日は緊張もあって自分が準備した解答例と一字一句同じ表現をすることも難しいです。
なので、一人で練習している際に詰まった箇所を、より優しい英語で言い換えられる代替表現も併せて考え練習をしました。
また、結果待ちの 1ヶ月半の期間に話題になっている国際情勢のチェック、及び英語での表現方法も準備しました。
参考書を見る限り、A級は SAほどの厳しい突っ込みはないと思いつつ、日本がどのようにかかわっているのか、自分はどう考えるのか、を簡潔にまとめて表現できる練習をしておきました。
また(1次試験の国連知識の試験対策ともかぶりますが、)歴史的な背景も調べてどうしていまそのような状態になっているのかも事前に勉強しておきました。
当日、聞かれなければそれでよいのですが、準備をしないと不安は募るものですし、何か聞かれた際に全く知識がないのと少しでもあるのとでは、会話の展開が変わってきます。
準備のかいもあり、面接当日は外国人の男性面接官が一人の 1対1の面接で、とても和やかに進み、会話を楽しむことが出来ました。聞かれた内容は、自己紹介、今現在興味がある国際問題、そしてほかに追加して話したいトピックです。
【試験を終えて思う事】
もともと海外ドラマやハリウッド映画が好きで余暇の時間によく見ています。
今回、国連英検の勉強をすることによって、国際情勢、世界の歴史、世界における日本の立ち位置、それに対して自分はどう考えどう英語で表現するのか、などを勉強する機会が出来、よりハイレベルな英単語や表現、文章に触れることによって、視野を広げることが出来ました。
普段の生活をしていると自分の普通の生活が“国連”というグローバル機関とは全くつながりがないように感じますが、この勉強をしたことで、実際は小さなところでつながっていることにも気が付きます。
また、ある程度まとまった時間の勉強をすると、今まで見ていた海外ドラマや映画の英語の理解力が一段上がっているという嬉しい気付きもあります。
働きながら余暇の時間を勉強にあてるのは正直辛いときもありますが、これからも時には厳しく、そして楽しみながら英語の学習をして、さらにレベルアップを目指したいと思います。