保有資格 » 実用英検 1級 英単語検定 1級 国連英検 A級 中高教員免許 留学経験 » スペイン・マドリード(1年間) 職業等 » 英語教員 |
【はじめに】
国連英検を開催してくださった日本国際連合協会の皆様、お礼申し上げます。また、国内最難関といわれる国連英検特A級の合格体験記の寄稿の機会を頂けましたこと、感謝いたします。私自身、今迄この合格体験記で読むことで合格者の方々の様々な勉強法を学ぶことができ、多くのアドバイスを頂けましたので、拙い文章ではありますが、これから国連英検を受験される方々に少しでもお役に立てればと思い、喜んで自分の合格までに行った勉強法を書かせていただきます。
【受験動機】
私は数年前に英検1級に合格しましたが、合格当時の自分の英語力に全く納得いくことができませんでした。そこで更なる自分の英語力を向上させるために国連英検特A級が適していると考えたため、受験を決意しました。
また、私は現在英語教員として勤務していますが、英語を教える立場になっても生徒と変わらず学び続ける姿を見せたいと思ったからです。
【1次試験】
1次試験に合格するためにメインで使用した教材を紹介させていただきます。
『国連英検過去問集2013~2020年』
『新わかりやすい国連の活動と世界』
『Foreign Affairs』
『The Economist』
『UN News』
『英語を英語で理解する英英英単語 超上級編』
『究極の英単語SVL VOL4.超上級の3000語』
『究極の英単語プレミアム VOL.1』
『究極の英単語プレミアム VOL.2』
『上級英単語LOGOPHILIAロゴフィリア』
勉強方法
・過去問を解く
まとまった時間のある時に過去問を繰り返し解き、問題形式に慣れるようにしました。過去問に載ってある知らない表現、コロケーションなどは調べつくし、問題を見た瞬間に解説できる程度まで行いました。回数は数えてはいませんが、20~30周はしたと思います。
国連英検は公式の参考本の数が少ないが故、過去問を使って試験対策をすることは間違いなく必須です。しかし、既に非常に高い英語力を持っている人を除けば、過去問だけで合格することは厳しいと思います。私の場合、過去問は試験問題に慣れるため、そして問題傾向を理解するために使用したまでです。
・Foreign Affairs を毎日読む
先ほど過去問は問題慣れするために使用したと記述しましたが、メインで行った対策は英字新聞を読むことです。特A級の問題は、「The Economist」、「Foreign Affairs」など英字新聞からの出典が多いと思います。そこで英字新聞を大量に読み漁り、そこで出会った未知の英単語や英語表現をメモしていく作業を続けました。「Foreign Affairs」のアプリを使用して、通勤中に地下鉄の中で毎日読みました。最初は1つの記事を読むのに何時間もかかってしまいましたが、少しずつ未知語が減っていき、英字新聞を読むことが楽しく感じていくようになりました。今回の試験の大問Ⅷでも、自分が前に読んだことがある記事からの出題があったので、非常に読みやすく感じました。非常に地味で時間のかかる作業かもしれませんが、これが合格に繋がる最も効果のあった勉強法だと確信しています。
英字新聞を読むことのもう1つのメリットは、これが英作文や 2次試験の対策にもなることです。英文の中には国連の活動が多く書かれているので、英字新聞を通して国連の活動を学ぶことができました。メインで読んだのが「Foreign Affairs」でしたが、「The Economist」も時間のある時に読みました。「The Economist」のほうが「Foreign Affairs」よりも英文の難易度が高いと感じ、大量に読むには「Foreign Affairs」のほうが私には適していると感じました。どの英字新聞を読むかは好みによって変えていいと思います。
・単語帳を使用して語彙対策
メインの試験対策は英字新聞を精読&多読することでしたが、自分の語彙力にも不安があったため英検1級レベル以上の単語帳を隙間時間を見つけて暗記するようにしました。その際に英単語の日本語訳を覚えるだけでなく、どのような単語とセットで使われやすいのかを理解することが重要だと思います。そのために例文を使用して覚えると思います。なぜなら特A級の問題(特に大問Ⅵ)は、日本語訳を覚えているだけでは複数の選択肢が正解になっていると感じてしまうからです。単語1つ1つの細かいニュアンスを覚えることが重要です。
【英作文対策】
英作文では、世界が抱える問題について国連が行っている活動を良質な英文で書く必要がありますが、短時間でそれを書くには私には難易度が高すぎると考えました。なぜなら、特A級の合格者の 9割以上が英検1級保持者なので、私の英文の質で他の受験者と差別化をはかり、高得点を取ることは難しいと考えたからです。ですので、できるだけ国連の知識を英作文でアピールするように心がけました。
方法としては英字新聞や UN News で見つけた国連の活動を記述してある英文をノートにまとめ、丸暗記しました。数でいうと 50フレーズ程度だったと思います。英作文の過去問を見てみると、紛争、気候変動、食糧支援、子どもや女性の権利、核兵器などについての質問が多かったのでこれらの問題について書いてあるフレーズを中心に覚えました。それぞれの問題に対してなぜ起こっているのか、誰が困っているのか、国連は何を行っているのかを具体的に書くようにしました。この際に特に気を付けたことは、細かい数字や年号、固有名詞を知っている限り書き尽くしたことです。本番では WHO の役割について述べるというかなり具体性を求められる問題で驚きましたが、暗記した例文を書くことで 20点中 17点を取得することができました。書き方のテンプレートについては、過去問を参考にしました。
また、なみすけさんの英語ブログ〈https://eigoblog0405.com/〉が大変に参考になりました、必見です。
【その他注意事項】
・大問Ⅰについて
大問Ⅰの国連知識問題に関しては、指定テキストを丸暗記するしかありません。私の場合、最初は日本語と英語どちらも読んで、ある程度指定テキストの内容を覚えたら、日本語の文章は読まず、英語の文章だけを繰り返し読みました。何度もテキストを読み返すと、少しずつどんな固有名詞が文章中に出てくるのか、わかってくるようになります。近年の出題傾向を見ると少しずつですが、過去問と同様の問題が出題されることが増えてきた気がします。なので、最近の過去問の知識問題は要チェックです。
・大問Ⅲについて
以前よりも明らかに難化傾向にあると思います。今までは高校レベルの文法を完全に理解していれば解ける問題が多かった気がしますが、最近は重箱の隅をつつくような微妙なニュアンスの違いを見つける難関問題が増えたと思います。私自身、過去問では安定して 7点以上は取れていましたが、今回は 4点という結果になってしましました。しかしこれも、良質の英字新聞を読んでいれば、英文の不自然さに気づくことができていたと思います。
・大問Ⅳについて
絶対に 10点を取る必要があります。しかし、1,2問ほど、多少頭を悩ませるようなひっかけのような問題があるので、ここで焦ってしまって点数を落とさないようにすべきだと思います。
【2次試験】
お恥ずかしい話ですが、1次試験後に自己採点をした際に点数がわずかに合格点に足りないと思って諦めていたので、1次試験の結果が届くまでは 2次試験の対策を全くしていませんでした。結果として、2次試験に向けて対策をした期間は 2週間もなかったです。もっと早く対策を始めていればよかったと後悔しております。
短い期間ではありましたが、2次試験対策に使用した参考書は「国連英検特A級・A級面接対策」のみです。この本の暗記はせず、1度読んで面接の流れを確認する程度でした。面接で本に書いてある答えを丸暗記してしまうと、コミュニケーションに支障が出ると考えたからです。
メインで行った対策は以下の 2つです。
・国際情勢・国連活動のニュースを大量に見る(日本語・英語どちらでも)
2次試験では国際政治の専門家と国際問題についてディスカッションをすることはわかっていたので、付け焼刃の知識では歯が立たないと考え、国際問題について専門家が討論する番組を YouTube で多く見ることで、自分の意見をまとめるようにしました。私がよく視聴していたのが以下の 2つです。
『深層NEWS 日テレ』
『報道1930』
これらは知識をインプットするのに非常に役立ちました。なぜ出来事が起きたのか、その結果どうなったのか、今後どうなっていくのかを専門家が説明をしてくれます。本当に自分の知らないことが多く、多くの学びを得ました。その結果、面接では面接官の質問にたいして黙りこむことなく答えることができました。
・BBCニュースのシャドーイング
インプットをすることはニュースを見ることでできましたが、英語で国際問題についてディスカッションする機会がなかったため、BBCニュースのシャドーイングを行いました。これを行いニュース英語を話し慣れることにより、2次試験対策になりました。
・本番について
面接では以下のことを質問されました
私の場合は面接シートの興味のある国際問題の欄に「ウクライナ情勢」と「難民」と記入した結果、面接時間 約15分のうち半分以上はこの 2つのトピックについて時間を使いました。ですので、国際事情について幅広く知識を得ることは必要ですが、面接シートに書いた内容は特に深く調べておくことを
面接官は 1人が日本人男性、もう 1人が英語ネイティブの男性でした。面接官の方々はとても優しく、和やかな雰囲気で行われた結果、緊張が解け、リラックスして面接に臨むことができました。
質問に対して冗長な回答は避けながら、なぜ問題が起こっているのか、それに対して国連のどの機関が何を行っているのか、を全てシンプルに 30秒程度で解答しました。また、全ての質問に考える動作を見せず面接官の目を見ながら即答したため、知識のアピールになったのかもしれません。結果として評価項目では知識点が最も高かったです。
自分の回答に対して反論させる隙を与えない完全な回答をすることがベストだと思いますが、面接官は国際政治の専門家ですのでそれは難しいと思います。中途半端な回答をしては反論をされて、それに回答できず黙りこんでしまう可能性があります。それを防ぐためにもあらゆる反論を想定し、それに対する答えも準備しておくといいと思います。私の場合は運が良かっただけかもしれませんが、回答に対する反論はありませんでした。これは、面接官によって変わるのかもしれません。
また面接は質問に答えるだけの回答ゲームではなく、コミュニケーションのテストです。面接官と対話を楽しむ気持ちを忘れずにいるといいと思います。繰り返しになりますが面接官の方は優しく、私の回答に納得していただいた場合、面接官同士で目を合わせて大きく頷いている動作を見せてくれました。その動作を見ることで、私が自信をもつきっかけにもなりました。
【さいごに】
私は国連英検特A級に合格するまで、2次試験はありがたいことに 1度で合格できましたが、3回連続で 1次試験不合格を経験しました。合格するまで 2年以上かかってしまいましたが、受験してみてよかったと心から思います。試験を受けるにあたって諦めそうになったことが何度もありましたがそれでも挑戦を継続できたのは同じ志を持って勉強をしていた仲間のおかげです。1人の力では絶対に合格はできませんでした。
更に、国連英検を受験してみて、自身の英語力と国連、国際事情に関する知識が格段に上がりました。しかし、自分が思い描いていた英語力にはまだ到達していませんので、ここで一喜一憂することなく精進していきます。
「語学に試験など必要ない」、「語学は話せなければ意味がない」、「マイナーな試験を受けても仕方ない」という意見を聞いたことがありますが、それも数ある意見の 1つとして理解しておりますし、否定する気はありません。また、検定試験など受けなくても私より英語能力の高い人は山ほどいます。ですが、私は検定試験を通して様々な目標を自身に課し、1人の学習者として日々成長することに喜びを感じているのです。新しい何かを知れば知るほど、自分は何も知らない、と思い知らされる日々ではありますが、そうすることで私の人生を豊かにすることができていると信じています。ですので、これからも新しい学びを得ることに興味を持ち、言語学習を通じて成長し続けていきます。ご精読ありがとうございました。
最後に、私が尊敬する言語学者である黒田龍之助先生の私を励まし続けた言葉を紹介させていただきます。
外国語学習にとって最も大切なこと、それはやめないことである。
保有資格 » 実用英語検定 1級 TOEICスコア 910点 留学経験 » なし 職業等 » 会社経営、ファイナンシャル・プランナー |
【はじめに】
この度は、国連英検特A級に合格できたことを大変嬉しく思います。一次試験には 2回合格したことがありますが、二次まで合格したのは初めてです。また、合格体験記寄稿の機会を頂き、誠にありがとうございます。
更に、コロナなど大変な状況にもかかわらず、試験を開催していただいた国際連合協会の関係者の皆様に厚く感謝、お礼申し上げます。
【一次試験】
■ 使用した教材
■ 勉強方法
全般的な学習法としては、上記①『国連英検公式ガイドブック特A級・A級』のほか、ブログの土佐犬さんの学習方法を参考にしました。
一次試験対策として、国連の知識が問われる大問1 については、『新 わかりやすい国連の活動と世界』の主な論点を纏め、覚えることに努めました。例えば IAEA については、設置を国連総会で決めたのはいつか、設置はいつか、本部はどこにあるか、ノーベル平和賞を受賞したのはいつか、その時の受賞者などです。また、国連のサイトである「UN News Global Perspective Human Stories」も随時参照しました。また、以前には英和辞典を中心に用いていましたが、英英辞典の使用を増やしました。オンラインの Longman を使うなどして、語彙の強化に努めました。
大問2 については、New York Times の記事を読むなどしました。以前松本道弘先生の「タイムを読む」など何冊かの本を読みました。同先生の考えでは、タイム、ニューズウィークなどを速読することが重要であるとのことです。New York Times の記事を1日最低 5つ読むなどしましたが、速読については、まだまだ改善の余地があるのが現状です。
大問7、8 などでは、特に単語の実力が問われます。単語については、主に上記⑧『究極の英単語Vo.14 超上級の3000語』を使い、類義語、反意語もどんどん記入しました。主にThe New York Timesから知らない単語をどんどん抜き出し、ノートに書いて記憶に努めました。
大問9 の作文については、予想されるいくつかのテーマについて、論点を整理しました。また、上記⑨『スーパーレベルライティング』、⑩『英語ライティング至高のテクニック』により、作文の基本を学びました。特に段落構成の重要さを心掛けることとしました。今回テーマとなった WHO についてはあまり予想していなかったので、少し戸惑いましたが、単語の数については指定されている 200-250語に収まるよう、なるべく多く書きました。
一次直前の 1-2か月では、上記③から⑤を中心に過去問に主に取り組みました。大問1 については、過去問から傾向が変わっており、国連のサイトである「UN News Global Perspective Human Stories」からも一部補って対策を取りました。
【二次試験】
■ 使用した教材
■ 勉強方法
二次試験では、国連の組織とその活動、国際情勢が主に問われることとなります。引き続き『新 わかりやすい国連の活動と世界』読み、『国連英検特A級・A級面接対策』により、傾向と対策を考えました。
国際情勢については、The New York Times を読み、国連のサイトである「UN News Global Perspective Human Stories」を引き続き参照しました。そのほか、BBC のニュースもできるだけ聞くよう、努めました。そのほか日本語の新聞として、日経、読売、朝日、毎日、東京、産経にも、概ね毎日目を通しました。国連および国際情勢に関する部分をコピーして、分野ごとに整理しました。
聞く、話す対策としては、NHKラジオの「ビジネス英語」「ニュースで学ぶ現代英語」「英会話タイムトライアル」を毎日聞きました。特に「英会話タイムトライアル」により、瞬時に回答する訓練をしました。
面接の直前に提出する面接シート(Interview Sheet)の項目は a からj 迄ありますが、e. Education : 出身大学 f. Hobbies, Interest, Special Concerns (趣味、興味を持っていること) : Climate Change, Human Rights, Democracy h. Persons You Respect (尊敬する人物) : Tetsu Nakamura i. Foreign Countries You Visited (訪れた国) : Hong Kong とだけ記載しました。以前は a からj迄すべて記入していましたが、意外と突っ込まれることが多く、事前に準備できないものは、すべて省略しました。
最も重要なことは、想定問答集を作ることであると思います。面接は通常、アイスブレイク、質問と回答、言い残したことの発表に分かれますので、それぞれの対策を立てました。
まず、面接の冒頭のアイスブレイクについては、通常採点の対処とならないとされています。只、どんな面接でも、第一印象で殆ど決まると言えます。「どのような経路でここ迄来たのか、時間はどれ位掛ったのか」「この場所(試験会場)はすぐに見つかったか」「何時頃起きたのか」などの質問に対する回答を用意しました。
また、上記面接シートについても質問があると想定して、その回答を用意しました。更に、国連の活動、国際情勢について 20項目程度を纏めました。
最後の2分程度の発表の時間については、その前の質問・回答の時間で聞かれてしまう可能性もありますので、5つ程度の課題について、2分程度で話せるよう準備しました。
面接官は日本人の女性と外国人の男性で、とても親切、丁寧な対応でした。実際の面接では、まずアイスブレイクで、「中村哲氏はなぜ、現地の人から尊敬されているのか」「殺害したのはだれか」と予想外の質問。何とかやり過ごしました。
次に面接で聞かれたのは、
予想していた質問としては、ウクライナ情勢がありましたが、聞かれませんでした。また、民主主義について聞かれたら、米国中間選挙を巡る動きと、ウクライナにおける戦争犯罪について述べるつもりでしたが、これも聞かれませんでした。更に、訪れた国として香港について聞かれると、中国の情勢について答えるつもりでしたが、これも聞かれませんでした。
ロヒンギャについての質問には、OHCHR がどのように関わっているのか説明する予定でしたが、忘れてしまいました。
また、最後に 2分程度の発表の時間があると想定していましたが、全体の時間が経過したためか、発表の機会はありませんでした。
回答に際しては、国連、日本は何をすべきか、自分は今後、国際情勢にどのように関与して貢献するつもりか、を中心に話すつもりでしたが、実際にはあまり話せませんでした。
殆どの質問が面接シートとは関係なく、想定していた質問も殆ど出て来ませんでしたが、事前の準備により、やるだけはやったという心構えができていたことが、効果を生んだと考えています。
二次の評価では、Comprehension と Knowledge が比較的高かったものの、Pronunciation はあまり高くありませんでした。今後の課題です。
【おわりに】
私は現在、金融関係の仕事をしています。金融と英語の知識を増やし、それを強みとすることをこれまで目標としてきました。英語については、実用英語検定 1級に合格し、TOEIC についてもある程度の得点が取れたので、次の目標として国連英検特A級を目指しました。
以前、アジアの人々と英国の人などが出席した国際会議に出たことがあります。その際、日本の歴史、地理などを英語で滞りなく説明できれば良いと思いました。今後は日本の文化について、英語で海外に発信していきたいと思います。
今回、二次に合格できましたが、これで終わりでなく、別の資格に挑戦する、また英字新聞を継続して読むなどして、更なる実力の向上を図る予定です。
国連英検に挑戦することにより、英語の実力を向上させることが可能となり、また、国際情勢についても理解を深める事ができます。
受験生の皆さまは、是非挑戦していただき、英語の実力向上の一助とされるよう、祈念しております。
保有資格» TOEICスコア 990点 TOEFLスコア 105点 留学経験» 交換留学(8ヶ月、ブリティッシュ・コロンビア大学) 職業等 » 東京大学農学部獣医学専修 6年 |
【はじめに】
この度は、国連英検特A級に合格でき、大変嬉しく思います。国連英検は、英検のように指南書が多く存在する試験ではなく、合格体験記を元に情報を得る方も多いと思います。私の体験記が、今後受検される方のお役に少しでも立てば幸いです。
【一次試験対策】
・国連の知識
大問Iでは、指定テキスト『新わかりやすい国連の活動と世界』を基に、重箱の隅をつつくような問題が出題されます。私は英語面であまり自信がなかったので、大問Iでなるべく失点しないよう、テキストに登場する年月日、地名、人名などの固有名詞は全てマーカーをし、覚えました。テキストには、条文や国連機関の設立に関することなどが無味乾燥に羅列してあり、あまり読書として楽しめるようなものではありませんし泥臭いですが、読み込むことで点数に直結します。また、過去に出た問題と同じ問題が出題されることもあるので、過去問で出題された問題はマークしておいた方が良いかと思います。
・単語力強化
単語力が圧倒的に不足していたため、『英語を英語で理解する 英英英単語 上級編/超上級編』を用いて単語力を上げました。ですが、本番では未知語に多く遭遇したので、上記の単語帳に加え GRE 対策用の単語帳も用いるべきでした。また問題の選択肢には、意味が似ているもののコロケーションが合わない単語などがあるので、単語は読んで分かるレベルでなく、実際どのような場面、コロケーションで使われるかというレベルまでおさえることをお勧めします。
・国際情勢の知識
大問IXでは、国際情勢に関するエッセイが出題されます。ですが一次試験では二次試験と異なり、あまり突っ込んだ内容の国際情勢は問われません。話題になっている国連機関が直近でどのようなことを行っているかを大まかに知っておく程度で良いと思います。私は UN News のポッドキャストを毎日聞き情報を得るようにしていました。
【二次試験対策】
国際情勢に関して自分の意見を求められますが、その前提となる知識をつけるために、UN News をはじめ、英字新聞、英字雑誌こまめにチェックしました。その上で、国連の活動、日本がそれに対して何をしているか、自分はどう思うかの 3点を言えるように練習しました。
面接は、Interview Sheet を元に行われるので、聞いてほしい内容を面接シートに書き、話の内容を自分が答えやすい分野に誘導すると良いと思います。私はカナダに留学していた旨を Interview Sheet に書いたところ、カナダと日本の違いを面接の序盤に問われ、ジェンダー問題に関する意識の違いを答えました。すると、面接全体の流れが女性や性的マイノリティーの権利についてとなり、自分の大学での専攻に近い生物系や環境系のことについて話せるように準備したのにも関わらず、それをあまりアピール出来ませんでした。なので、話す内容はコントロールした方が良いかもしれません。
また二次試験の準備をする中で、他の受検者の方や合格経験のある方とお話しさせていただく機会があり、二次試験の対策や雰囲気について教えていただいたり、鼓舞していただいたりしました。その方々には、この場をお借りして御礼を申し上げます。
【さいごに】
今回合格を頂きましたが、国際情勢に対する知識も英語力もまだ自分は不十分だと感じます。これに甘んじず、今後とも、国際情勢、国内情勢ともに常にアンテナを張り、それを英語で受信、発信する力を伸ばしたいです。
保有資格» 実用英検1級(奨励賞) 国連協会会長賞(2021年度国連英検) ケンブリッジCELTA 国際コーチング連盟認定 Neurolanguage Coach® SDGs検定合格 eco検定合格 ユニバーサルマナー検定1級 留学経験» 米国 (日米学生会議)(日本映像翻訳アカデミー) ※ 海外赴任・駐在にて、サウジアラビアなど 職業等 » 会社員(海外担当) |
この度は、国内最難関の英語試験と評され、国際機関で働く上でも重視される国連英検特A級に合格でき、大変光栄に思います。これまで英語に限らず様々な試験に合格してきましたが、国連英検特A級は私にとっては別格のものとなりました。
理由は、その難易度です。本試験は公式ウェブサイトにも掲載されているとおり、国際的に通用する知識や教養、コミュニケーションスキルが問われ、文化、経済といった幅広い分野についても自由に討論する力が求められます。
1次試験から、英検1級よりもはるかに高度な語彙力や文法力、読解力が試されるため、英検1級ではかなり余裕をもって合格できていても、本試験で容赦なく落とされたこともありました。
2次試験では、ネイティブの試験官に加え、外交の実務経験者や、国際関係を研究する大学教授などの面接官 2名から、15分間にわたって矢継ぎ早に質問の球が飛んできます。そのため、単なる語学力の判定にとどまらず、今まさに地球上で問われている問題への認識力、自分の考えや解決策を論理的に伝達する表現力といった、総合的な国際コミュニケーションスキルを認められたという達成感があります。実際の面接の場では緊張感もありますが、いかに的確に返せるか、私自身楽しんで臨むことができました。
■受験動機
大きく二つあります。
一つは、特に昨年(2022年)、国際情勢の変化をひしひしと感じたためです。2月頃、私はケンブリッジCELTA の取得に向け、教育実習としてオンラインで東ヨーロッパの国の生徒たちに授業を行っていたのですが、一緒に先生役を務めていたウクライナの方の家族が亡くなったり、引っ越しを余儀なくされたりしていたことから、大きな時代のうねりを身近に感じたのです。
もう一つは、世界の現状把握と、正しい認識に基づいた知見を持つためです。現在、気候変動対策、そして SDGs 達成に向けて各国が軌を一にして臨んでおり、私の勤める会社においても、まさに世界が直面している水・環境・食糧といった課題の解決に邁進しているため、その必要性を常々感じていました。
また、自分の属するコーチングのコミュニティーでも、世界各国の経営者や国際機関で勤める方達と頻繁に交流する場があり、日本の国際社会への関わりや、自身の見解について話す機会も増え、教養を一層深めていく大切さを感じたことも、受験のきっかけとなりました。
■試験対策
・テキスト活用
『わかりやすい国連の活動と世界』(公益財団法人日本国際連合協会 著/三修社)というテキストを何度も読み返しました。指定テキストでもありますが、国連の基礎的な内容が分かりやすく説明されている良書です。自然と国連の知識が身に付きますし、対訳があるため、コフィー・アナン氏のノーベル平和賞受賞講演といった、格式の高い英語も覚えられます。
また、ここで取り上げられている国際機関や、グローバルな問題などについて知ることで、自発的な学びを深めるきっかけにもなります。
「ウクライナ情勢においてどのような国連組織が、どんな活動をしているか」
「SDGs それぞれの目標と、現状の達成具合はどうか」
「日本は国連で今後どのような役割を果たすべきか」
など、読むたびに様々な疑問が湧いてくるので、それらを自分で調べていくことで、論点整理も進んだように思います。
試験前に海外出張が度重なったことや、MIT Sloan Executive Education で神経科学のコースをオンライン受講していたこともあり、学習時間の確保が難しい状態でしたが、結果として隙間時間に集中して取り組めたのが功を奏したと感じています。
・当事者の視点で情報を吸収する
時事問題のニュースや報道番組を視聴する際には、自分が国連職員であればどのような判断で施策を進めるか、当事者であればどのようなロードマップで解決に当たるか、という視点を持って主体的に情報を吸収していくことが、2次面接では大いに役立ちます。
特A級の評価基準は、「国際会議に参加して、意思を伝え、自由に討論できる能力を保持していること」とあります。普段から、自分の意思を説得力のある形で、分かりやすく伝えられるように、国際問題を英語でディベートしたり、文章を書いたりして訓練することが、合格への近道だと思います。
実際に、面接ではウクライナ情勢の展開について問われました。毎日のようにニュースに触れ、現状を注視することはできても、今後の展開まで思考を深める機会は普段の生活では少ないので、本当に貴重な機会となりました。中には国連海洋法条約(UNCLOS)や、サル痘の名称変更の理由説明など不意を突かれるような質問もありましたが、できるだけ持ち得る知識に関連付けて回答しました。
結果的に面接の評価は高かったので、やはり黙さずに、自信を持って語り続けることも大切なのではないでしょうか。
国連英検が真の国際人へのパスポートと称されるとおり、時事問題や国際問題への知識と教養、自分なりの意見が問われるので、本試験は実務でも大いに役立ちます。
国際社会で通用する日本人たるべく、より一層スキルの向上を目指してまいります。
この度は誠にありがとうございました。
保有資格» 実用英検 1級 TOEIC スコア 950点 留学経験» なし 職業等 » 医薬研究職 |
国内最難関の英語試験である国連英検特A級の合格者体験記への寄稿の機会を頂き、大変光栄に思います。2017・18年に TOEIC の IIBC AWARD OF EXCELLENCE を受賞し、2020年に実用英検1級合格した後、学習継続意欲の維持のために国連英検特A級を目指しました。国連英検の学習期間は約1年ですが、私が社会人として研究生活をしながら、どのように勉強したかを共有させて頂きます。
【教材・参考ウェブサイトなど】
<1次・2次共通>
<1次試験>
<2次試験>
【1次試験】
勉強時間は朝 30~1時間、昼休み 30分、夜 1時間です。他の受験者と違う方法で、最も効率的な学習方法だったと感じるのは、『Bizmates』の活用です。海外の先生に online で過去問を解いてもらい、回答の選択理由、語彙のニュアンス、未知語に遭遇した時の推測法など、自身とは異なる感覚をなるべく吸収するように努めました。エッセイも添削して貰い、有用な言い回しを増やしました。『The Economist』と『Foreign Affairs』は、自然な表現を学ぶために、無料で読める範囲の online 記事に目を通しました。国連英検特A級の各設問対策には『英語難構文のトリセツ』や『英文解体新書』がお薦めで、このレベルの知識を身に付けることが、1次試験突破に繋がるかもしれません。
【2次試験】
1次試験後に対策を開始しました。ただ『オンライン英会話 Bizmates』のプログラムで社会問題などについても先生方と討論する機会が多く、2018年から少しずつ 2次試験の基盤を構築していたかもしれません。試験前 10日間は、特に国際問題について討論しました。『完全攻略! 英検1級二次試験』は有用な表現が多くお薦めです。音源を聞き、使いたい表現が口から出やすい状態を作りました。また、英検1級リスニング Part 4 や他のインタビュー音源を聞くことで、間の取り方や表現などを真似るように努めました。とは言え、国連英検特A級で合格するには、英会話ができるのは当然で、面接中に国連や国際情勢の知識を示す必要があると思います。私の場合、『UN News』と『Foreign Policy』で国際問題を調べ、『国連広報官に学ぶ問題解決力の磨き方』で対策法を学びました。
【最後に】
1次試験の合格後、どのように 2次対策すれば良いか分からずにいた時、social media を通じて、思い切って合格体験者に連絡させて頂きました。そこで、ご自身の経験を惜しみなく共有して頂き、勉強会グループの同志から多くのエネルギーも貰いました。また、直前に『テソーラスハウス』でレッスンも2回受けましたし、『Bizmates』には 4年以上お世話になりました。関わって頂いた皆様には感謝の念に堪えません。
「博士号取得の医薬研究者で英検1級を持っている」となると誤解が生じる場合があるのですが、教育は鹿児島の地元の公立学校の授業のみで、7~22歳までただ野球ばかりしていた少年でした。英語の資格試験を受けたこともなく、海外どころか都会の人にも気後れして生活していました。英語資格試験のために遠方まで受験に行く動機もありませんでした。東京で生活している今、正しく継続できる人であれば、資格試験突破に特別な才能はいらないと思っています。国連英検特A級の学習を通じて色々な学びがありました。突破を目指す方は、ぜひ継続して下さい。末筆ながら、皆様のご健闘を心よりお祈り申し上げます。
保有資格» 実用英検 1級 留学経験» なし 職業等 » 学校教員・塾講師・翻訳等 |
この度は、合格体験記寄稿の機会をいただき、ありがとうございます。まさか、自分がこの体験記を書く機会が来る日が来たとはまだ信じられません。私は、英検1級合格後、次のステージとして国連英検特A級の受験を始めました。つまり、完全合格まで、5年かかったということです。詳しい受験歴は、はっきり覚えていませんが、はじめは落ちました。次、1次は合格して、2次試験が3回チャンスがあるわけですが、すべて落ちました。そのあと、2年ほど受けませんでした。ただ、やはり挑戦しようと思い、1次を受けました。そしてまた落ちました。その後、また受け、今度は1次合格しました。ただ、また2次試験に落ちました。そして今回、ついに合格しました。
こんな長々と自分の恥部とでもいえる戦歴を書いてきたかというと、成功も失敗も、何か行動を起こさないと何も始まらないということです。それくらい達成感がありました。5年間の対策・参考にしたことを書かせていただきます。
ただ、私の場合、上の経緯がありますので果たして効率的な学習方法であったかは、定かではありません。
[対策] →私の場合、受験歴が長いので一次も二次も併用で書かせていただきます。
初めの頃は、Dr.Cope さんの原稿を覚えたり、色々してきましたが、結果、一番効果があったと思ったのは、自分の言葉で自分の意見を言えるかだと思います。だから、今回、前回(不合格でしたが)自分でニュースがあったら、意見を自分でまとめるように心がけました。朝などに習慣として一人でぼそぼそ、つぶやきながら思いつくことをメモしながらどんどん、加筆修正しました。
(情報は更新されますので)
[2次試験]
私は、本当に二次試験を何回、受けたのか分からないくらい受けてきました。ですので、参考になるかと思います。今回の成功は、会話を楽しむということです。面接官も人間です。こちらの緊張なども伝わるでしょう。ゆっくり、自分の意見を述べるように心がけました。去年の夏は、知識を一方的に伝える形で面接とは言えないものだったと思います。また、発音も指摘されたので、ゆっくり相手が聞き取りやすい発声で、面接に臨みました。Twitter などで相談に載ってくださった皆様、仲間ができたことも心の支えでした。
[最後に]
自分に特段、才能があるとは思いません。ただ、何度も負けましたが、粘り強く頑張れた自分は誇っていいかなと思っています。
コロナ禍の中、受験の機会を設けていただき御礼申し上げます。
国連英検特A級に完全に合格したことでやっと次のステージに進める気がしています。
英語学習に終わりません。これからも続けていきます。ただ、言語学習が好きなので他言語の勉強も進めていきたいと考えています。
今までありがとうございました。
保有資格» 実用英検 1級 国連英検 A級 留学経験» 米国連邦道路庁 2年 職業等 » 会社員 |
1次試験は今回 3度目の合格、2次試験は 7回目の挑戦、通算 10回目の受験という長い道のりでした。特に何故あのような面接で合格できたのか不明ですが、僕の経験が少しでも皆様のご参考になればと思います。
【試験対策について】
通常の業務であまり英語を使うことがないので、朝夕の勉強を継続しました。使用教材はあまり多くないですが、主として語彙習得と論理構成に役立たせていただきました。この他、雑誌の音読、書き写し、語彙とフレーズの習得といった中学時代の勉強法を再現しました。音読の際、二次試験の面接者に語り掛けるようなイメージの重要性に気付きました。自分の意見を面接者に伝える際、この語り掛けイメージは音読においても再現できると思います。
<使用教材>
「新わかりやすい国連の活動と世界」三修社 (指定テキスト)
「国連英検過去問題集 2013 - 2021 (過去問)」
植田一三 (著), 妻鳥千鶴子 (著) 「英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング」
植田一三 (著) 「Vocabulary 1000 [Advanced Level」
植田一三 (著) 「Vocabulary 1000 [Intermediate - Advanced Level」
植田一三 (著) 「発信型英語10000語レベルスーパーボキャブラリービルディング」
植田一三(著)「16000語レベル最強ボキャブラリービルディング」
Time Magazine
The Economist
<1次試験対策>
大門1 は国連の知識が問われますが、最近の過去問から出題は指定テキストからの引用だと判断しました。しかし、詳細まで暗記するのではなく”failed state”のようなキーワード、人名、西暦年、法令に的を絞り込みました。これらの流し読みを継続することで本番では 9点をマークしました。しかし、今思えば、ここでの知識は二次面接でも役立ちました。例えば、”PKOの成功条件とは?” と問われた時、 ”Peacebuilding and peacekeeping should go together.” のような短文説明を用意していたので助かりました。ポイントの短文記憶は、汎用的な使いまわしが出来ると思います。
読解が苦手な僕は、大門2 では 6点を目標にしました。日々の Time Magazine または The Economist の音読と Vocaburary building を継続しました。このほか、英検過去問をやり直すことは僕なりに効果があったと思います。本番は 5点でした。
大門3 の文法では過去に 9点を取ったこともありましたが、今回は 3点でした。正解する時は即座に回答できますが、そうでない時は大体駄目です。過去問パターンのみならず、速読理解がここでは重要と回顧しています。大門4 は 10点でした。ケアレスミスが無くて幸いでした。
大門5-8 は語彙力、語法、コロケーション、国際知識が問われると思います。日頃の読解が重要ですが、先述の雑誌音読と BBC News と NHK News でしか準備できませんでした。しかし、このパートで 27点、大門1-8 総計で 54点は僕にとっては上出来だと思いました。
次に続くエッセイには 30分以上の時間を残すように、大門8 までの目標時間を 80分に設定しました。
エッセイについては過去問を現時点で解き直しました。また、昨今の廃プラによる海洋汚染、環境、女性の格差、食糧問題、ウィグル自治区やデジタル格差といった課題は一度回答を用意しておけば、パラグラフの組み合わせにより多様な出題にも対応できると思いました。これは何度も受験したならではの恩恵ですが、予想外の問題に出くわすこともありました。しかし、エッセイで重要なことは問題の論点に対する自分の主張を明確にし、具体的な事例を紹介することとして捉えておりました。WHO の役割という今回のテーマは既に用意をしておりましたが、余計なことを書いてしまいました。結果は 14点でしたが、10分間じっくりと構成を考えるくらいの冷静さが必要でした。
僕の場合、一時試験に合格する時はいつも 1点上回るレベルでした。今回は将にボーダーラインゆえ、大門1-8 のケアレスミスは致命的であると思いました。
<二次試験対策>
国連英検特A級・A級 面接対策(対策本)
Native Speaker によるスカイプレッスン
NHK News English 逐次サマライズ
二次試験では 5点からのスタートでした。何故 5点であったのかに気付いたのは、週に 1度の Native講師からの Skype レッスンによります。彼女から、自分の自己紹介を録画して送るという宿題を試みた時、全くできないことに大きなショックを受けました。しかし、発音や言い回しを客観的に見ることにより、5点の意味が理解できました。また、二次試験テキストの模範解答では難しい語彙を全く使用していないことからも、自分の意見を簡潔に伝えることの重要性に気付きました。また、テキストから、特A級は Common European Framework of Reference for Languages (CEFR) という欧州基準の C1 に位置することも分かりました。8点という合格点は途方もなく遠いです。
しかし、残念ながら、ビデオ画像チェックの有効性に気づいたのは 2021年12月 面接試験の 1週間前でした。毎日数本のトピック原稿を用意し、内容整理した後録画チェックを積み重ねました。よく頑張りましたが、本番面接の際、国際的な視点に基づく回答をしていないことに気づきました。1か月後、悲痛な思いで封書の結果を見ると、総合 6点となっていました。録画レッスンの効果を確信しましたが、8点にはまだ遥かに遠いことも明白でした。
その後、昨年の 2月からロシアのウクライナ侵攻を皮切りに、エネルギー費用の高騰、穀物輸送停滞等々、国内では安倍総理の銃撃、統一教会の問題等、多用なトピックに悩まされました。また、過去の経験から、想定外の質問に何度も面喰いました。結局、昨年 7月の面接試験においても途中から駄目だと感じました。「UN Women と WHO の関係を述べよ」 という質問には今でも正解は見出せないでいます。彼女に相談すると、C1 を目指す他の受講生も妙な質問を経験していることが分かりました。C1 面接では敢えて追い込むような質問をするので、正しい回答を模索して悩むことよりも、(どうせ正解などあり得ないというくらいの)精神力で見識を述べるという結論に達しました。結果は総合 6点でしたが、全ての項目で 7-6点ゆえ、12月よりも少し進歩がありました。
しかし、今回は 12月の面接以前に 1次試験をパスする必要がありました。改めて過去問を解くほか、国連テキストを読み流すことで精一杯でした。11月末に開封した時、68点でギリギリの合格でした。12月の面接試験前後に大きな出張があったので、準備は殆どできませんでした。しかし、この時には NHK News English の逐次サマライズという新たなレッスンを始めておりました。面接試験の直前に、この毎日レッスンは最も自分のレベルに合っていると認識しました。サマライズ時には面接官への説明を想定した声出しが重要です。
12月の面接では、やはり問題に遭遇しました。「最も効果のあった PKO は何か」という問いに対し、聞き取れなかったので、”Say again please."と問い直した瞬間、Comprehension でアウトだと思いました。その後、回答をしながら、自分の回答は PKO ではなく効果のあった UN sanctions であることに気付きました。"Sorry, this is not the answer." と述べました。完全にアウトです。しかし、面接官は、”OK, what is the condition for successful PKO?" と聞き返してくれました。Peacekeeping は Peacebuilding と表裏一体であるべしとして返しました。部屋を退出する時、今回は前回よりも駄目だと思いました。その翌日から、気持ちを切り替えてというより、不合通知を開封する時のショックを少しでも和らげるために NHK News サマライズを続けました。日々豊富なトピックをサマライズすることにより、語彙もコロケーションも情報も頭に入るので、もっと前からやるべきであったと認識しました。封書が届きましたが、開封する気には全くならず、2月になってから止む無く開封することにしました。本当に驚きました。Comprehension 8, Pronunciation 7, Fluency 7, Structure 7, Vocabulary 7, Communication 8, Knowledge 8, 総合8 という結果は全く理解ができません。合格するためのギリギリの採点ですが、面接官が温情で救ってくれたとしか思えません。
面接試験を振り返ると、質問を問い直すことは多分悪いことではないと思います。聞き返すことは Communication として当然の権利です。また、途中で自身の意見の矛盾に気づき、撤回することも実務では重要ですし、Comprehension の1つとして見なせるのかも知れません。10点は無理ですが、情状酌量の余地ありとして帰結されます。各質問には Awkward ながらも自分の言葉で自分の考えを述べたように思います。この他、面接シートには必要最小限の記載としました。尊敬する人 Tetsu Nakamura, a doctor-turned irrigation developer in Afghanistan, 海外勤務 Indonesian Highway Corporation, 行ってみたい国 Ukraine としました。キーワードは僕の職種であるインフラ整備です。最後に言いたいことはないかと尋ねられた際、「ウクライナの戦争が終結した時、ビルの瓦礫や廃材処理をうまく活用して Sustainable な道路整備に貢献したい」と述べました。
さいごに、ここまで勉強を続けられたのは、合格体験記を参考にさせていただいた他、国連特A講座でお世話になった先生方のおかげです。この場をお借りして、重ねてお礼申し上げます。
保有資格» 実用英検 1級 TOEIC 1390点 (LRSW4技能 満点) 英単語検定 1級 TESOL 留学経験» カナダ 6ヶ月間 職業等 » 高校教師、英会話講師 |
【はじめに】
この度は、合格体験記寄稿の機会をいただき、誠にありがとうございます。初受験で国連英検特A級に合格できたこと、また一次試験の英作文や二次試験の各項目で高評価をいただけたことを大変嬉しく思っております。この最難関の試験にこれから挑まれる方の力に微力ながら貢献できればと思い、合格体験記を書かせていただきます。
【一次試験】
■ 使用した教材
【一次試験】
大問1:「Anki」というアプリを使って、① の教材の全ページを丸暗記しました。結果として 10問中 8問は確実に取れるようになりました。私はこの国連知識獲得に一番時間がかかりました。
大問2:③ の教材で英文の精読力・速読力を高めました。難しい英文を読み慣れておくことが大切です。
大問3:② の教材(過去問)では大問4 に次いで簡単なところだったのですが、結果的に当日の問題ではここが一番難しくなってしまいました。私は 10問中 4点しか取れませんでした。過去問で出てくるような簡単な文法問題は、2022年実施のものでは出題されなくなった印象です。
大問4:対策は必要ありません。サービス問題としてとらえていました。
大問5:4 の教材で単語学習を徹底的に行なったため、比較的易しい問題に感じましたが、文脈的判断が必要なため、読解力も求められました。
大問6:大問5 と同様。
大問7:大問5 と同様。
大問8:大問5 と同様。
大問9:教材5 のウェブサイトでとにかくたくさんの知識を得ました。とはいえ、国際的な社会問題のジャンルは幅広く、また関連する国連の機関や取り組みを紐付けることは大変なことでした。結果的に 20点中 18点を得られたので、対策すればするほど、確実に点数が取れる部分であるように感じました。私は当日の解答用紙に小さな字でびっしり埋めたので、350語以上書いたように思います。導入・観点 3つ・結論の 5段落構成です。二次試験の対策にもなりますので、大問1 のことを考えても最も時間をかけて良い大問だと思います。
【二次試験】
■ 勉強方法
英作文の対策で利用していたウェブサイト UN News の記事を毎日読むようにしていました。また、日本の政治や社会問題についても自分の言葉で意見を述べられるように、ウェブサイト JAPANTODAY (https://japantoday.com/)の記事も週に一度読む習慣をもちました。
■ 当日の質問内容
■ 当日の質問内容についての印象
質問2 や質問5 などは予想することのできない具体的な内容だったため、質問された瞬間は思考が停止しそうでしたが、自分のもつ知識で「なんとか」逃げ切ったという印象でした。特に国連海洋法条約については、完全に当てずっぽうだったため、とてもつらい時間でした。
ある程度、あらゆる国際問題や国内問題についての知識を網羅したつもりでしたが、結局のところ、準備してきた通りには当日は進みませんでした。日頃から何を聞かれても自分の意見を述べられるように、「国際的な感覚」を養っておく必要があると言えるでしょう。
結果として、総合評価 9 をいただけましたが、面接の 15分間は本当に大変な思いをしました。矢継ぎ早に質問を浴びせられるので、考えている時間もなく、根拠に基づき理路整然と意見を述べることが求められます。
【おわりに】
最難関の英語試験であるという事実を痛感したのは、やはり二次試験を受けたときです。日本語で答えることも難しい内容を英語で説明しなければならず、かつ国連の知識を交えながら、冷静さを保ち、プロフェッショナルとして振る舞うことが求められます。私は運良く初受験で一発合格という幸運な結果を勝ち取りましたが、もう一度二次試験を受けたらどのような結果になっているかわかりません。
これから受験をされる方に伝えたいことは、特A級の合格を勝ち取ることで、ネイティブレベルの英語話者であることが認められたような感覚を得られます。英検1級やTOEIC 満点では決して味わうことができなかった感覚です。唯一無二の検定試験です。この体験記が、受験を検討されている皆様の背中を押すこととなればこれに勝る喜びはありません。
保有資格» 実用英検 1級 TOEIC スコア 970点 通訳案内士(英語) 工業英検 1級 留学経験» なし 職業等 » 通訳・翻訳 |
【はじめに】
この度国連英検特A級に合格させて頂くことができました。また有り難くも合格体験記を書かせて頂く機会も頂戴しましたので、僭越ながらこの場をお借りして私の経験を書かせて頂ければと思います。この体験記が少しでも皆様のお役に立てることがありましたら幸いです。
【一次対策】
1. 勉強方法のリサーチ
具体的な対策に入る前に、まず勉強方法のリサーチを行いました。国連英検事務局や対策専門校のサイトに掲載されている合格者の方々の体験記をチェックしました。合格された方のブログも併せて拝見し、その中でもなみすけさんのブログはご自身の経験に基づく具体的なアドバイスが豊富で大変参考になりました。
なみすけの英語ブログ:https://eigoblog0405.com
2. 過去問
まず国連英検事務局ホームページ経由で過去問題集を購入し、各回の問題を実際の試験時間内で解いてみました。何回か繰り返し解いてみることで、自分のスキルの現状や弱点、当日の時間配分の目安を確認することができました。そして国連知識が一番の弱点であることを確認し、その習得に重点を置いた学習から始めることにしました。また国連英検事務局ホームページから直接購入した特典として前回の 2022年第1回の試験問題冊子を頂くこともでき、これは最新の出題傾向を把握する上で大変助かりました。
使用した過去問題集
① 国連英検過去問題集[2019・2020実施] 特A級 三修社
② 国連英検特A級・A級対策 [改訂版] 三修社
3. 国連知識
指定テキストである「新わかりやすい国連の活動と世界」(三修社)を通読しました。平日に毎日一章ずつ読み、週末にその週に読んだ箇所をもう一度読み直して機関名や設立年、拠点地、加盟国数など試験に出やすいと思われる箇所をマーカーで印をつけていくという作業を繰り返しました。それでも私は暗記をするのがどうしても苦手だったため、試験直前の時期にはマーカーを引いた箇所をマインドマップのアプリ「MindNode」に主要機関や関連機関などでグループ化しながら入力し、それをスキマ時間や移動時間にタブレットでいつでも見直せるようにしました。またテキスト巻末の国連システム表も PDF 化してタブレットに入れて英作文や 2次対策の際に随時参照しました。
4. リーディング
以下のコンテンツに絞って毎日少しずつでもいいので必ず触れるようにし、知らない語彙や背景知識があれば英英辞書やサイトで都度調べ、意味や例文をノートに書き留めました。国連知識や関連する語彙を習得するという点では、やはり UN News が一番役に立ちました。動画のニュース媒体に関しては、数年前から放送通訳メソッドを活用した通訳ワークショップで勉強を不定期に続けているため CNN や PBS Newshour、NBC など米国のメディアを視聴する習慣は元々あったのですが、試験の準備期間は BBC や DW News などヨーロッパの媒体も併せて視聴し、世界の様々な地域のニュースに接するよう心掛けました。なお、長文や解説記事については元々 The New York Times 電子版を購読していたので私はそちらで代用しましたが、もし国連英検のリーディング対策に目的を特化して長文記事に触れたいということであれば、他の方々がお薦めし、国連英検に出やすいと言われる The Economist や Foreign Affairs の方が良いのではないかと思います。
リーディング対策で活用した教材/サイト/動画
① UN News(全般、特に News in Brief は毎日チェック)
② The New York Times 電子版(平日は Daily Briefing、週末は特集記事をチェック)
③ Foreign Policy (毎日無料で届く Morning Briefing メールのみチェック
④ CNN, PBS Newshour, NBC, BBC, DW News の動画やアプリ、ウエブサイト
5. ボキャビル
合格者の皆様がお勧めするものの中から以下の単語帳を選んで購入し、それぞれ毎日こなせる分量を決めて音声を聞いて例文をシャドウイングする作業を繰り返しました。特に「英英英単語 超上級編」は、例文の質も良く音声アプリも使いやすかったので今回の勉強で一番活用しました。また今回は国連知識と英作文に重点を置きたかったこともあったので単語帳はこれらに絞り、上述のリーディングの勉強でも並行して語彙力と背景知識を強化するよう努めました。
ボキャビルで使用した教材
① 英英英単語 超上級編 ジャパンタイムズ&ロゴポート編
② 究極の英単語プレミアム1 向江龍治著 株式会社アルク
③ 究極の英単語プレミアム2 向江龍治著 株式会社アルク
6. 英作文
英作文は得点配分も高く、国連知識の次に力を入れた分野です。今回の試験までに残された時間を考えると独学では厳しいと考え、英検1級対策の時にもお世話になったテソーラスハウスの国連英検英作文に特化したオンライン添削を受講しました。与えられたトピックに対して、指定テキストや UN News をはじめとするサイトでリサーチを行ってから要点をまとめ、それを元に英作文を作成して提出、国連や国際関係に詳しいネイティブ講師による添削が返ってきたら復習するというプロセスを繰り返しました。また練習では「イントロダクションでトピックに対する自分の主張を提示し、本文で具体的な例を説明し結論に持っていく」という型を守るよう常に心掛け、いきなり文章を書き出すのではなくこの型に沿ってアウトラインをまず書き出してから具体例で肉付けしていくようにしました。毎回課題のトピックについてリサーチして深掘りすることで自然と国連の主要機関や活動についての理解が深まりました。さらにそこから得られた知識は後の 2次試験の準備にも応用することができました。
【2次対策】
1. 模擬レッスン受講&トピックの整理
1次試験後の自己採点では合格できるかどうか判断が難しかったものの、仮に翌年以降に再挑戦するとしても年内に練習だけはしておきたいと考え、合否発表前から同じくテソーラスハウスのネイティブ講師による本番に即した模擬レッスンを受け始めました。内容はもとより表現や発音などについて細かいフィードバックを受けながら練習を続け、特に 2次試験直前の時期には講師のアドバイスに従って世界や日本で関心が高いと思われるトピックについて要点をまとめていきました(以下参照)。さらに日本の立場や自分の見解をまとめるための参考として、日本国内のニュース解説動画もなるべく視聴するようにしました。中でもテレ東 BIZ の YouTube チャンネルは政治経済に関する解説動画が豊富でいずれもわかりやすく、最新の世界情勢を理解する上でお勧めです。さらに SDGs についても 17個の目標とそれぞれの内容や主な活動について調べ、その中で自分が特に関心を持っているトピックを 3つ(No.1 Zero Hunger, No. 7 Affordable and Clean Energy, No.12 Responsible Consumption & Production)をピックアップし想定問答集を作成しました。実際に試験当日も何か話したいトピックを聞かれた時に SDG1 の Zero Hunger を選んで食糧危機と絡めてお話ができたので SDGs の予習をしておいて良かったと感じました。
2次試験に向けて事前に要点をまとめたトピック
① 日本の安全保障政策(試験前日に総理が言及した「防衛増税」も念の為チェック)
② 国連安保理の問題点、改革
③ 中国の軍事拡大や海洋進出、台湾問題
④ ウクライナ侵攻と以降の国連の一連の動き
⑤ 食糧安全保障やサプライチェーン問題、インフレ
⑥ 経済安全保障(特に半導体をめぐる動き)
⑦ 気候変動問題
⑧ エネルギー危機
⑨ SDGs
⑩ 難民問題
2次対策で主に利用したコンテンツ
① テレ東 BIZ の YouTube チャンネル(特に「テレ東ワールドポリティクス」)
② CNN, BBC, PBS Newshour, NBC, DW News の動画やアプリ、ウエブサイト
③ UN News
④ NHK スペシャルの特に世界情勢を特集した回(ウクライナ侵攻、食糧危機など)
2. 2次対策の反省点
やはり1次試験の段階から 2次試験を意識した学習や練習を始めるべきだったと痛感しました。今回は 1次に受かってからようやく「エンジン」がかかったというのが正直なところであり、本番では自分の意見について具体的例や言いたいことがさっと出てない場面があった点で悔いが残りました。そのため合否を問わず早めに 2次試験対策を開始することをお勧めいたします。
【2次試験当日】
当日は受付や誘導スタッフの皆様にご親切に案内頂き、担当の面接官お二人も終始和やかに面接を進めて下さったお陰で安心して臨むことができました。勿論いざ面接が始まると息をつく暇もなく矢継ぎ早に質問が飛んできて、トピックも自分が現在仕事で関わっている IT について、ウクライナ情勢と世界各国の対応、食糧危機、非常任理事国として日本はどう貢献できるのか等々多岐に渡り、途中苦しみながらも無我夢中で回答し気づけば規定の 15分間をオーバーしていました。事前に恐れいていた「沈黙」もなく、なんとか最後までやり抜いたという思いはあったものの、ワンパターンな回答に陥ってしまったり、自分のアーギュメントに対する根拠や具体例を出しきれなかった場面も多々ありました。そうしたことから今回は辛うじて合格させて頂いたものであり、決して結果に甘んじることなく今後も勉強を続けていこうという思いを新たにしました。
【試験勉強時の時間管理で参考になった本】
こちら余談にはなりますが、仕事をしながら試験勉強のために時間をやりくりする上で参考になった書籍 2冊をご紹介したいと思います。どちらもベストセラー書籍ですが、この 2冊の本からは「今、目の前のことに集中すること」、「人生の時間は有限であることを意識すること」の大切さを学びました。今回の試験勉強期間中に元々フルタイムで仕事をしている上に急に忙しくなった時期がありました。それでもなんとか優先順位をつけて最低限こなすべきタスクに集中し、試験当日までなんとか乗り切ることができたのはこれらの本のお陰であると感じています。これまで時間がないことを理由に受験をためらっていたのですが、たまたま読んだこれらの本がきっかけで思い切って挑戦する決心がつきました。試験とはもちろん直接関係ありませんが、もし試験を受ける上で時間のやりくりについて悩んでいらっしゃる場合は是非一読することをお勧めしたいと思います。
① エッセンシャル思考 グレッグ・マキューン著
② 限りある時間の使い方 オリバー・バークマン著
【おわりに】
実は今回は 2回目の挑戦でした。1回目は約10年前で当時はあまりの難易度の高さに圧倒されて1次試験で不合格となり、以降は日々の仕事や生活に追われてそのまま時が過ぎていきました。ですがここ数年はコロナ禍やウクライナ侵攻など世界の出来事を目の当たりにし、自然と国内外のニュースや世界情勢の行方、さらには国連のあり方にも関心が向くようになり、また再挑戦したいという気持ちになりました。そして今回の受験を通じて、国連の活動、世界や日本の立ち位置について改めて学び直すことができたことも大きな収穫でした。そうしたことから国連英検は、合格に向けて準備・勉強する一連のプロセスを通じて自分の視野を広げることもできる貴重な試験だと思います。ですので、皆様ももし少しでもご興味があれば受験されることを是非お勧めしたいと思います。
最後になりますが、まだコロナ禍が続く最中に今回の試験実施にご尽力頂きました国連英検事務局関係者の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
保有資格» 実用英検 1級 通訳案内士(英語・スペイン語) 英単語検定 1級 留学経験» 英国交換留学(10ヵ月) 職業等 » 自営業(IT) |
1. はじめに
この度、国連英検特A級に合格できて大変嬉しく思います。そしてコロナ禍で大変な状況の中、受験の機会を設けてくださった国連協会事務局の皆様には、この場をお借り致しまして深く御礼を申し上げます。
私は大学時代に英検1級を取得し、その数ヵ月後に国連英検特A級に挑みましたが、力及ばず不合格になりました。大学卒業後もチャレンジを続けましたが不合格が続き、海外赴任などの転機が重なった関係でしばらく受験から遠ざかりました。そんな折にコロナ禍が始まり、自宅でテレワークを続ける中で何か新しい目標を持ちたいと考えていたところ、国連英検のことを思い出しました。「あの時は取れなかったけど、もう一度チャレンジしてみよう」と国連英検特A級への再挑戦を決意したわけです。
初受験から長い年月がかかりましたが、国連英検の勉強を通して出会った英語学習仲間の存在がモチベーションにつながり、合格までたどり着けました。「何度も不合格になったけどまだ諦めたくない」と考えていらっしゃる方々への一助になればと思い、微力ながら体験記を書かせて頂きます。
2. 一次試験
一次試験対策では下記の教材を使用しました。
- 新 分かりやすい国連の活動と世界(三修社)
- 国連英検特A級・A級対策(三修社)
- 国連英検過去問題集 特A級 2017/2018年度(三修社)
- スーパーレベル類語使い分けマップ(ベレ出版)
- 16000語レベル最強ボキャブラリービルディング(ベレ出版)
- Standard Vocabulary List---Vol.4(アルク)
- なみすけの英語ブログ(https://eigoblog0405.com/)
- UN News(https://news.un.org/en/)
【一次試験合格のポイントになった類語の使い分け】
私が一次試験を通過できた理由は、類語の使い分け問題の点数が伸びたからです。それまでは類語の使い分け問題で失点が目立ち、合格基準点まであと数点というところで不合格になっていました。当時は単語帳学習に傾倒しており、覚えた単語の使い分けまで頭が回っていなかったのが原因です。国連英検特A級では、辞書を使わずに TIME・Foreign Affairs・Newsweek・Economist などを読み解くだけでなく、正確に類語を使い分ける判断力も求められます。高難度の英単語帳をできる限りカバーしていたのですが、覚えた知識を試験でうまく活かせていませんでした。
そこで英語学習仲間から「単語帳だけで対策すると、Part 6 で落とす。Foreign Affairs などを読んで類語を使い分ける感覚を養うのが大切」というアドバイスを受け、その後はリーディングを重視する勉強法に切り替えたところ、一次試験合格時にはPart 6 の点数が 8点に伸びました。個人的には類語の使い分けが一次試験を通過する上で重要なポイントになったと思っています。
勉強法に関しても新しい動きや発想を取り入れることで、集中して楽しみながら英単語学習に没頭できました。単語帳片手に勉強するだけだと、単純な反復動作の繰り返しになってしまい、気持ち的に疲れてしまいます。しかし新出単語の類語を調べ、文脈に応じて使い分ける練習をすることで、ちょっとした遊び感覚で勉強量を積み重ねることができます。また座学に偏ると眠気を感じたり、運動不足の懸念も残りました。そのため、エアロバイクをこぎながら教材を使って勉強するなど、身体を動かしながら英単語学習を続けられるように工夫しました。
【英作文の持ち玉を増やして準備】
2021年秋季、2022年春季・秋季の三回の受験を通して、英作文ではすべて 17点という評価を頂きました。残念ながら 20点満点を取ることはできなかったのですが、安定して 17点をとれたのはなみすけさんのテンプレートと英国留学の経験があったからだと思っています。
なみすけさんのテンプレートはポイントを整理しやすく、例文も汎用性があったため、効率的な論理展開のイメージを描くことができました。しかし大きな課題となっていたのは「何を書くのか」という中身の部分でした。そこで思い出したのが英国留学の経験です。私が交換留学で在籍していた大学では、期末試験前にテーマ別の問題文が公表され、学生は試験会場で事前に考えた内容を数千字の論文にまとめて提出していました。国連英検で出題される英作文のテーマは事前に発表されませんが、UN News では国連が取り組んでいる地球規模の課題(感染症対策、環境問題など)がカテゴリ別に整理されています。事前に情報収集を徹底して想定されるテーマとそれに対する完成された解答を準備しておくことで、試験本番でカバーできる範囲を広げられると思いました。UN News から使えそうな語彙や構文を交えて 15 のテーマに対応できる模範解答を作り、人名・プロジェクト名・国際機関の正式名称などの固有名詞も覚え、二次試験を想定して英作文の内容をすぐ再現できるように音読も繰り返しました。英作文の持ち玉を増やしておくことで、想定外のテーマにもある程度は対応できるようになると思います。
3. 二次試験
一次試験の約一ヶ月後には、合格通知とともに二次試験用のインタビューシート(趣味や海外経験などを事前に記載する)も届きました。
【特A級合格経験者と行った面接練習】
私は一次試験の自己採点後に二次試験対策を始めました。通常は二次試験の約二週間前に一次試験の結果が通知されるため、結果通知後に対策を始めると時間が足りなくなるからです。具体的には国連と国別の課題を数週間かけてリストにまとめ、質疑応答集を作りました。一次試験の英作文対策で使用した資料も併用し、一人で質問と回答を繰り返しながら準備しました。
しかし独学で質疑応答集を作ると、自分が想定できる範囲の質問に答えるだけの練習が続きます。これでは想定外の質問がきた時の臨機応変な対応能力が磨かれません。そこで国連英検の勉強を通して出会った学習仲間(特A級の合格経験者)と一緒に面接の練習をさせて頂きました。
練習では本番と同じ流れで質疑応答を行いました。想定外のテーマが出題された時の対策を含め、客観的なフィードバックを頂いて本番のパフォーマンスをイメージできるようになったので、大きな自信につながりました。ときには日常の動きから離れ、不慣れな状況に対応できる感覚を磨く練習も大切だと思います。
【試験本番】
試験当日には集合時間の約1時間前に会場の最寄り駅へ到着しました。早い段階で現場の雰囲気に馴染んでおきたかったからです。電車の中では勉強した内容を振り返っていましたが、駅を出た後は自然体でいられるように巣鴨の景色を眺めたり、ストレッチをして本番に臨みました。
面接では下記の質問に回答しました。
- 海外でどのような活動をされていたのですか?
- 興味がある国際機関は何ですか?
- ゼロカーボン社会を実現させるために、私たちができることは何ですか?
- 農業分野で AI の技術を用いると、どのような利点がありますか?
- 国連は環境問題の解決に貢献できていると言えますか?
- 今年に入って難民が急増したのはなぜだと思いますか?
- 難民と気候変動の関連についてどのように考えていますか?
- 最後に何か言いたいことはありますか?
結果(総合評価 9点)だけを見ると無事に合格できたと言えますが、自分のパフォーマンスを振り返ると到底納得いくものではなく、率直に悔しさを感じました。面接の雰囲気にあまり左右されないようにするためには、全力を出し切る練習を事前に積み重ね、試験本番の環境をあるがままに受け入れて精一杯ベストを尽くすことが大切だと思っています。「これが今の自分の実力なんだ」と真摯に受け止め、スピーキングの弱点を克服できるように精進していきたいです。
4. 最後に
最後までお読みくださり、どうもありがとうございました。英語学習については既に有益な情報がたくさん出ていますし、参考になるところはなかったかもしれません。しかし、もとより不合格を繰り返して本来合格の可能性が低かった私が、合格体験記を執筆できるようになった理由が幾ばくかでも伝わればと思います。そしてご覧になって下さった方々が「自分も頑張ってみようかな」というモチベーションにつなげて頂ければ嬉しい限りです。
国連英検特A級の受験を通して、英語学習の階段を駆け上がる楽しさを思い出せました。試験から離れた時期がありましたが、コロナ禍で国連英検特A級に合格を再び目指す過程で、共通の目標を持つ英語学習仲間と出会えました。国連英検特A級に合格するためには何が必要か。どんな勉強をして、どこをどのように鍛えればそのレベルまで到達できるのか。それを共に考え、取り組みの内容を工夫し、チャレンジすることがおもしろかったのです。彼らと切磋琢磨できた経験が国連英検特A級の合格につながりましたし、今後はその結果を励みにして、また次の踊り場を目指したいと思っています。
末筆ながら、今まで支えになって下さった方々へ御礼の言葉を申し上げて、ご挨拶に代えさせて頂きます。
本当にありがとうございました。
保有資格 » 実用英検 1級 TOEIC スコア 965点 留学経験 » 交換留学で米国テキサス州に約9カ月 職業等 » 会社員 |
① 受験のきっかけ
この度は合格体験記への寄稿の場をご用意頂きまして、誠に有難うございます。今回は英検1級合格を機に、環境・社会・経済といった国際社会で注目度の高いテーマに対する課題解決に必要な英語力を身に着けたいと考え、「グローバルプレイヤー」の登竜門として、国連英検を受験しようと決意しました。また現在の業務で PRI (責任投資原則)に署名している機関投資家との交渉する機会も増えており、ESG 投資や SDGs の本質を理解する上でも、当試検を通じて、国連に関する理解を深め、国際的な教養を持つビジネスパーソンを目指そうと考えました。
② 対策方法
<1次試験>
1. 使用した教材
・国連英検過去問題集[2019・2020実施] A級
・新 わかりやすい国連の活動と世界
・国連英検特A級・A級対策 [改訂版]
・VOAで聞き読み SDGs英語ニュース入門
・究極の英単語 SVL Vol.4 超上級の3000語
・UN News Daily Wrap
2. 使用した Podcast や Apps
・English News - NHK WORLD RADIO JAPAN
・UN News - Global perspective Human stories
・Yahoo Finance Daily
・Wall Street Breakfast
・SoFi Daily Podcast
・英辞郎 on the WEB Pro (Apps)
3. 勉強法
2022年10月下旬の試験日まで約3カ月を対策期間として、まずは過去問題集を設問別に横断して収録されている直近 3回分を解いてみて、試験のレベルと傾向を把握する事に努めました。まず、国連知識問題については、過去問で出題された項目を Google Document にテキスト(新 わかりやすい国連の活動と世界)の構成に沿って、まとめていきました。実際には複数回出題された項目や間違った項目はテキスト上の該当箇所にもマークして試験直前に見直し出来る様にしました。次に読解力に関しては「究極の英単語 SVL Vol.4 超上級の3000語」で語彙・単語力の補強を行うと同時に、「UN News」をメール登録しておき、毎日配信される国連の活動内容に関連した時事問題に目を通す事で、国際情勢における知見を深める事に徹しました。
エッセイに関しては、国連の意義を主張するにあたって、「SDGs」をベースに構成を組み立てるために、まずは「VOAで聞き読み SDGs英語ニュース入門」を使って、17 項目の目標の概要を押さえた上で、英検1級の対策と同様にテーマに対して、「問題(概要)→原因(詳細)→対策(見解)」の順にパラグラフを構成する練習を繰り返しました。また日々の日課として Podcast で政治・経済に関する話題を満遍なく聞き取り、最新の時事問題に関する知識のインプットも継続して行いました。
試験直前の 2週間前からは過去問題集を時間を図って回答する練習を行い、解説を確認しながら間違えた箇所を重点的に復習する様に努めました。最終的には直近 3回分を時間制限の元で各回合計 3周する事で、各設問の時間配分を意識した実践演習を行いました。試験当日は練習通りに各設問の回答を進め、時間的に余裕を持って、エッセイに取り組めたと思います。
<2次試験>
1. 使用した教材やニュース
・国連英検 特A級・A級 面接対策
・UN News Daily Wrap
・日本経済新聞(電子版)
2. 準備した面接トピック
(1) 平和と安全 <Peace and Security>
・核拡散防止
・内戦や紛争の調停 / 戦争難民の支援
(2) 経済開発 <Economic Development>
・開発の推進
・飢餓対策
・グローバルな貿易関係改善
(3) 人権 <Human Rights>
・ディーセント・ワークの推進
・報道や表現の自由の推進
・人種差別
(4) 環境 <Climate and Environment>
・脱炭素
・水産資源枯渇の防止
(5) 人道問題 <Humanitarian Aid>
・難民や困窮者対する援助
・自然災害の影響削減
(6) 保健 <Health>
・予防接種の普及
・リプロダクティブヘルスと妊婦の健康増進
3. 実際出題されたトピック
・ワールドカップ(W杯)カタール大会における人権問題
・訪れたい国
・脱炭素技術(カーボンクレジット市場の普及)
・自身が関心のある国連組織
・男女の平等(女性の雇用)
・ウクライナ戦争
4. 勉強法
まず面接の話題については、なるべく国連が関与しているトピックが適していると考え、「UN News」の「Topics」から自分にとって馴染みがあり、世間的に注目度の高そうなテーマを選ぶ事から始めました。次に、テーマ毎に「SDGs」を主張の軸として、「問題→原因→解決策」の順番で自分の英語で意見を説明する練習を重ねる事で、国連の取組みに対する見解に重点を置いた面接対策を行いました。
具体的には用意したスクリプトを iPhone の「Voice Memos」に録音し、毎日シャドーイングを行いつつ、数回のオンライン英会話で予め用意した面接トピックに基づいた議論を実践する事で、なるべく本番形式に近い練習を意識しました。面接本番では想定していなかった質問にも遭遇しましたが、事前に「SDGs」に対する国連の取組みに関して、インプットとアウトプットを重ねた事で、汎用的な見解ではありましたが、焦る事なく応対する事が出来ました。
③ 最後に
今回、国連英検を受験して感じたのは、英語力は勿論、世界の各国が直面する環境・社会・経済的な課題に対して、自分自身の意見を明確に発信する能力が非常に重要だという事でした。実際に、IT技術の発展により現在ではインターネットにさえアクセス出来れば、これらの課題に対して、様々なオピニオンに触れる事が可能ですが、それらを理解するだけでなく、自分ならどの様な解決策が提案出来るかまで踏み込んで考える事で、他人事ではなく、自ら課題意識を持って社会の課題に向き合う姿勢が持続可能な未来に必要な姿勢であり、まさに国連英検で試されている資質の一つだと感じました。特に Twitter 等の SNS では国連事務総長をはじめ、各国首脳陣が積極的に課題及び、解決策に関する意見を発信されており、自らも 1人の社会人としてどの様に世の中へ貢献すべきか当試験を通じて、改めて考えさせられました。
結果的には初受験で合格する事が出来ましたが、当試験で求められる「総合的な国際コミュニケーションスキル」において、語彙力や文法知識に加えて、発音といった項目で課題が多々見つかりましたので、現状に奢る事なく、次は最上級の「特A級」の合格を目指したいと思います。そして、いつか「真の国際人」として、公私共に持続可能な開発目標(SDGs)に少しでも貢献出来れば、これ以上の喜びはありません。
最後に、今回試験の場をご用意頂いた日本国際連合協会の皆様に御礼を申し上げると共に、次回以降の受験者様のご成功をお祈り致します。
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この度は国連英検A級に合格でき、とても嬉しく思っています。
以下、とても簡単ですが、私の合格体験記となります。
<受検のきっかけ>
学校の部活で模擬国連部に所属し、その活動を通じて国連の活動に興味を持つようになっていたところ、親しい友人に国連英検の受検を誘われて、一緒に受検することにしました。
<勉強方法>
英語そのものについては、学校の勉強や読書などで十分と判断し、国連の活動に関する勉強に集中しました。
基本的には、国連英検の公式テキストを使って、単語帳に国連に関する情報を書き出して、それを繰り返し見たり書いたりして頭に入れていきました。
また、UN News を毎朝インターネットでかかさず読むようにして、国連の最新の動向をフォローしていきました。
試験直前には過去問にも取り組みました。
また、共に受検する友人と問題を出し合ったりして競い合ったので、やる気が長続きしたように思います。
<その他>
2次試験は、1次試験と基本的に同じ対策をしましたが、普段から学校で英語ディベート部に所属し英語で色々な課題・テーマについて討論する習慣がついていたことが、受検にも役に立ったように思います。
本番の 2次試験は、面接官の方々と活発にお話をさせて頂くことができ、とても充実した時間でした。
<最後に>
これから部活や学校での学習を通じて世界情勢や国連の活動をより深く勉強していくつもりです。
その中で、近い将来 特A級の受検にもチャレンジしていきたいと思います。
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この度は国連英検A級の合格を頂き、とても嬉しく思います。私は今回初めて国連英検を受験しました。特A級とA級を併願受験し、結果、特A級は一次試験で不合格、A級は合格でした。私は、小学生の頃に聞いていた NHK基礎英語のテキストの広告で国連英検に出会いました。その時はまだ国連英検を受けるレベルに達しておらず、「いつかこの国連英検というテストの一番難しい特A級に挑戦してみたい」と感じたことを覚えています。その出来事から 15年以上経って国連英検を無事受験でき、その上運よく A級に合格できました。私の合格体験記が受験を検討されている皆様に少しでもお役に立てば光栄です。
私は海外経験が殆どなく、専門分野も英語や国際関係ではなく化学です。英語教室などには通っていないので、学習を 1人で進める必要がありました。独学においては、対策の戦略が重要だと感じます。特に専門が外国語や国際関係ではない私のような学習者は、英語の運用力を磨くことに加えて国際関係に関する基礎知識や時事問題を独習する必要があります。この点が他の英語試験と異なる、国連英検の高いハードルです。
以下、使用した教材の名称とその使用方法について記しました。過去問や指定テキストについては他の寄稿者の方が詳しく紹介されているので、本体験記では省略しました。
語彙力強化
1. 1100 Words You Need to Know
この本は、主に SAT (アメリカの大学入試統一試験) や GRE (アメリカの大学院入試統一試験) の受験生をターゲットとした、語彙力強化のためのワークブックです。無機質な単語帳ではなく、単語が 5行ほどの文章中で紹介されており、 意味だけでなくどのように文章中で使うかという観点から単語を学ぶことができます。単語は繰り返し登場しますし、何より 1ページずつ Week ○○ Day ○○ と一日にやる量があらかじめ分けられているので、継続しやすいです。唯一の難点は少し分厚いことと 1日 1ページずつ進むことから進み具合を感じにくい点ですが、毎日 15分ほどこのワークブックに時間を割くと着実に語彙力を向上させることができます。英検1級に合格した学習者が合格後に始めるのにちょうどよいレベルだと感じます。
2. 上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア
単語が羅列されている一般的な単語帳が苦手なので、長文とともに単語が紹介されている本書を使用しました。新刊ということもあり、長文の題材は最新のものが多く、興味深く読むことができました。長文を読むだけでも A級の対策になると感じます。1. 1100 Words You Need to Know の前に取り組むと、英検1級と国連英検A級の橋渡しのような役割を果たしてくれます。
3. 類語辞典 Thesaurus
日本の書店ではなかなか見つかりませんが、類語辞典は使える語彙を増やすうえで欠かせません。インターネット上のもので十分です。単語の言い換えや単語間の守備範囲の違い(うまく言葉にできませんが…)を知ることができます。単語帳で覚えるだけではぶつ切り状態の記憶が、類語辞典を引くことによって記憶の間に繋がりが生まれます。
読解力の強化
1. TIME
国連英検前は TIME を大学の図書館で読んでいました。2次試験の面接を受ける前に学割で定期購読を始めました。毎日 5,6ページずつ音読し、初めて出会う単語にマーカーを引いてその単語が印象に残るようにしています。
国際関係の知識
1. 放送大学
「世界の中の日本外交」「中東の政治」「現代の国際政治」がおすすめです。国際政治や外交について基礎的な知識をつけるのに最適な教材です。1講座を受けると他の講座も放送大学のマイページから講義を視聴することができます。また、大学生の方は大学附属図書館に放送大学のテキストがあるかもしれません。(場合によっては放送大学で取得した単位が大学から単位認定されることもあります。お得です。)テキストを読むだけでも勉強になりますので、国際政治などの基礎を学びたい方はぜひ受講をご検討下さい。国際政治学者として高名な高橋和夫先生が担当されている講義回は、学習抜きにして楽しく見ることができます。
2. MOOC
MOOC: Massive Open Online Course は、インターネット上で公開されている講座のことです。代表的なものとしてCoursera ( https://www.coursera.org/ ), edX ( https://www.edx.org/ ) などがあります。 世界の大学の講義を無料で受けることができ、講座によっては練習問題にも無料でアクセスできます。放送大学で日本から見た国際関係について学び、MOOC で国外から見た状況について学ぶという使い方がおすすめです。SDGs, UN, international studies のようなワードで検索すると色々と出てくるので、探検してみてください。
3. スターの Instagram
1. や 2. で国際関係の知識の増強方法について書きましたが、自身の世界から遠い事柄に関心を持つことは容易ではありません。その場合に役立つのがスターの Instagram などSNSです。海外のスターは比較的慈善活動や社会貢献に熱心で、Instagram などで写真を使って自身の活動を広報していることがあります。お気に入りのスターを見つけて、そのスターが行っている活動について調べることでより知識が頭に残りやすくなります。例えばあるスターが教育や機会の不平等の活動に取り組んでいる場合、スターの活動内容から、どうしてその活動が必要なのか、や現状について考察することができます。このようにして考えた内容は 2次試験対策にもつながります。
4. 国連の公式サイトに公開されている SDGs の PDF
このサイト ( https://www.un.org/sustainabledevelopment/why-the-sdgs-matter/ ) に、SDGs の17のゴール 1つ1つについてその目標が重要な理由や現状について紹介された記事や図解が公開されています。容易な英語で書かれているので、試験前に知識を整理するためや世界の現状を把握するための使用におすすめです。
発音の練習
1. 動画配信サービス
日常で英語を使わない環境にいる場合、発音の練習は容易ではありません。しかし、発音が 1次試験の評価項目の 1つである以上、避けられない関門です。このような環境で使えることができるのが、Hulu や Netflix, Disney + などの動画配信サービスです。私は、小学生の頃に当時 NHK で放送されていた iCarly を録画してセリフを覚えるほど何度も見て、登場人物になりきってキャストと同時に話し遊んでいました。今考えるとこれはシャドーイングのような行為であり、発音の向上に大いに役立ったと思います。ドラマや映画をみて、発音する際に何本目まで歯が見えているか、口は何センチ開けているかという細かいところまで研究し、そのまま真似すると発音が上達します。映画より複数のシーズンがあるドラマの方が人間同士の会話が多く、英語学習には適していると感じます。ただし、自分が好きなものを選択することが長続きにつながります。お気に入りのドラマや映画を見つけて楽しむことが一番の近道です。
2. YouTube
私が iCarly を見ていた当時は動画配信サービスが普及していなかったので、しばしば未公開シーンなどを YouTube で見ていました。YouTube は無料でありながらコンテンツが充実していますし、今は英語学習用チャンネルが多くあるようです。また、音楽を YouTube で聴いて声に出して歌うことで 2つの音がつながって発音されるリエゾン(リンキング)の練習に繋がります。
全般的な力の強化
3. 英語で開講されている大学の教養科目
大学で国際化が進んでおり、全国の大学で教養科目を英語で開講する事例が増えているようです。幸運なことに私が通っている熊本大学では英語で開講されている教養科目が多くあります。そのような大学に通っている大学生の方は、それらを履修することで多様な英語に触れることができます。3年まで様々な講義を履修したことで、1年次にはわからないことが多かった教授の説明を今では問題なく理解することができるようになりました。教養を得ることができると同時に英語も伸ばすことができ、単位も得ることができるという一石三鳥です。留学生とともに学ぶ科目では講義中にディスカッションの機会が多く設けられていることがあり、主体的にまなぶことができます。議論する力は国連英検の 2次試験に繋がります。また、講義中のディスカッションではすぐに意見をまとめて発表する力が求められますが、この力は一次試験のエッセイで有用です。
エッセイ対策
1. 海外文通(メールではなく手紙のほうです)
国連英検の直接の対策ではありませんでしたが、中学一年のときから 10年以上趣味として海外文通を続けてきたことが試験当日スムーズにエッセイを書けたことに繋がったと感じています。日本郵便の青少年ペンフレンドクラブ ( https://www.pfc.post.japanpost.jp/ ) は年会費無料で 1か月に2人まで海外ペンフレンドを紹介してくれます。題材が与えられるエッセイの練習問題と異なり、ネタを自分で考えて相手に会う内容を書かなければならないという点で、手紙を英語で書くという行為は案外難しいです。日本の政治や体制に関心を持っているペンパルも多く、彼らの質問に対して調べて返信で答えることが勉強になりました。特にアジアは航空郵便で 90円しかかからないので、おすすめです。
2. TOEFL, IELTS 対策
手紙を書くだけでは自分が興味のある話題しか扱わないだろうと不安に思ったので、何冊か図書館で TOEFL や IELTS のライティング対策の本を借りて取り組みました。参考書をもとにライティングの型のようなものを作成すると、迷うことなくエッセイを書くことができます。
以上、私の勉強法をまとめました。それぞれ置かれた環境や使用できる教材が異なるので、体験記を絶対視せず「こういう人もいたんだな」くらいに気楽に読んでくださるとうれしいです。次は特A級に合格できるように頑張ります。
2次試験では最後に伝えたいことを尋ねられます。大半の受験者にとってそれはアピールの機会のようですが、私はそのような事を知らず、ただ最後の数分を使ってひたすら面接官の方に面接の御礼を述べ続けるという珍行動をしてしまいました。それでも何とか合格を頂けたので、あまり「こうすべき」という面接のフォーマットにはまりすぎず、コミュニケーションを楽しむ気持ちで臨むくらいがちょうどよいのかもしれません。
支えてくださったすべての皆様、ありがとうございました。特に熊本大学多言語文化総合教育センターの講義や先生方のお陰で、私の英語力は 4年間で飛躍的に伸びました。