保有資格» 実用英検 1級 TOEICスコア 950点 国連英検 A級 留学経験» なし(フィリピン被災地支援2カ月) 職業等 » 英語教員 兵庫教育大学大学院グローバル化推進教育リーダーコース |
この度は、国連英検特A級に合格することができ、大変光栄に思います。15年ほど前に英検1級に合格してから、社会人に必要な英語力を維持できているのか判断するために受験をさせて頂きました。これまでに様々な資格試験に挑戦してきましたが、本試験は最難関の英語検定であると確信しております。社会人として働きながら合格まで学習を継続することは、留学なしでは特に難しいと思いますので、私の経験談がこれから受験をされる方々の一助となれば幸いです。
【一次試験】
私にとっては一次試験の突破が最も困難な道のりでした。合格まで残り数点の壁が超えられないため、以下に紹介する単語帳を使って通勤や通学、掃除洗濯や入浴時間を中心に難易度の高い語彙の定着に努めました。国連英検では文科省後援の英検と異なり、普段目にしない難解な単語や、外交などの場面で使用されるラテン語、フランス語にも出会います。英字新聞や Time、The Economist などを日常的に読むなどして、「知らない単語は無い」状態を目指しましたが、それでも必ず何かしら未知の表現に出会うので、初見で難解語の意味やニュアンスを推測する力や、例えば選択肢に enmity,animosity,hatred,repugnance などの類義語が並んだ際にそれぞれの使用場面や細かなニュアンスの差を判断できる力を養うことが重要です。
これらの力は本来、海外に長期間滞在して身に付く柔軟な語彙力なのですが、国内で生活をしていると獲得することが難しいと思います。この壁を超えるには、日常において ①「圧倒的なインプット(およびアウトプット)の物量を確保するシステムの構築」と ②「曖昧に理解している既知語の僅かな差を身近なネイティブまたはインターネットを活用して再定義すること」が必要だと考えます。それらを基に、③「単語を『知っている』レベルから『場面に応じて正しく運用できる』レベルにすること」を意識して学習に臨みました。前置きが長くなりましたが、以下に利用したメディアを紹介します。
1 から 5 に関しては、他の受験者も同じような書籍を利用されていると思います。主観にはなりますが、1 に関しては入門書レベル、2 と 3 である程度の語彙に対応できる中堅レベル、4 と 5 で仕上げといったイメージです。6 は意外に思われるかもしれませんが、研究の一環で高校生と英語で交流する機会があったため2の初級編と合わせてチューニングの意味も兼ねて読みました。今回の受験準備における変化点は案外ここにあったような気もします。英語に伸び悩んだ際は一度基礎に戻ってみたり、日本語能力の見直しをしてみたりすると良いかもしれません。
もう一点の変化は、大学院の講義において外国人のゲストスピーカーに対する通訳を担当したことです。モロッコやフィリピン、オランダ、台湾、ケニア、ボツワナなど主に非ネイティブによるプレゼンや論文発表の際に質疑応答も含めて対応しました。さほど難解な語彙とは出会いませんでしたが、各国特有の英語の言い回しにその場で対応を迫られるため、集中力や記憶保持能力の向上などに効果があったと感じています。
8 と 9 に関しては、自明のため割愛します。10 は面接前の数日間で言い回しを覚えました。
【二次試験】
二次試験の準備において意識したのは、①「平易な英語力のブラッシュアップ」と ②「難易度の高い語彙の自然な使用」です。① に関しては上でも取り上げた 2 の初級編や6を用いて無意識に生産できる英語の質を高めました。② に関しては、大学教授やプロの通訳である友人にオンラインおよび対面で時間を設けて貰い、国際政治経済、外交と平和構築、気候変動やビジネス、貧困や児童労働、途上国での開発援助などを中心に議論を行いました。私は留学経験がないため、特に海外での経験が長い方や英語運用経験の豊かな方の力を借りて、ネイティブが使用しないであろう言い回しや論理の飛躍などを厳しく指摘して貰うように依頼しました。面接が行われる週に一次の結果が届いたため期間は限られていましたが、集中して準備に臨みました。以下は面接での質問内容です。
1 と 2 に関しては既に面接が始まっていると思い詳しく話しましたが、直後に “Let’s get down to our main part!” と言われてタイマーがスタートしたため、その後の回答は冷静さを欠いてしまったかも知れませんが、終始和やかな雰囲気で会話をすることができました。「タイマーが鳴った後も続けて構わない」と初めに伝えて頂くなど、細やかな配慮をして頂いたおかげだと思います。
3 についてはイラク戦争時のアナン事務総長のスピーチについて、4 と 5 に関してはクラスター爆弾や日本の ODA、JICA の取り組みなども交えて出来る限り具体的に話しました。6 と 9 については SDGs に焦点化しながらもジェンダー平等やドイツ、デンマークなど欧州の取り組みを交えて包括的に議論しました。7 と 8 に関しては過去~未来の時間軸で捉えつつ、ミャンマーやシリア、ハイチにおける問題、現事務総長の考えなどに触れながら話しました。10 に関しては日本の治安悪化と国際社会の不安定化を比較しながら暴力の構造化について教育の可能性を示しながら語り面接を終えました。常に意識したのは具体的数字や取り組みを紹介しつつ、自身のエピソードを交えながら「世界と自分」というマクロとミクロ双方の視点から解決法を提案することです。手探りでの回答にはなりましたが、概ね 9 以上の評価を頂くことが出来ました。
【最後に】
国連英検は「己の無知を知る」のに最適な試験であると思います。受験を通して国内だけでなく海外の時事に継続的に目を向けることで、普段気にかけていない多くの分野の知識を幅広く身に付けることが出来ました。その点において、本試験は非常に緻密に設計されており、学習プロセスを通じて受験者の能力を引き出すことが出来る質の高い検定であると考えます。今後も合格者の名に恥じぬよう、真のグローバルプレイヤーを目指して努力を継続すると共に、より多くの方に国連英検に対する興味を持って頂くことで協会の発展と平和維持活動の拡大に貢献していきたいと思います。
結びに、面接試験の準備を支えて下さった大学院教授とコースの仲間達、ライバルであり最高の親友でもある大学時代の友人、最後まで勇気をくれた妻と子にこの場を借りて心から感謝を伝えたいです。
保有資格» 実用英検 1級 第一種証券外務員 中高教員免許 留学経験» なし 職業等 » 高校教員(数学科) |
【はじめに】
合格体験記寄稿の機会をいただき、ありがとうございます。また、コロナ禍の昨今において受験環境を提供してくださった日本国際連合協会の皆様に心から感謝します。特A級合格までの道のりは長く、苦戦しただけに、合格でき大変嬉しく思います。
留学経験なしの国内独学の英語学習者という立場で体験記を書かせていただきます。今後受験される方にとって微力ながらお役に立てれば幸いです。
【受験のきっかけ】
英語資格をまだ何も取得していない頃から、国連英検は難易度の高い試験であることを知っていました。当時の自分には敷居が高い資格でしたが、憧れの気持ちがあり、いつか必ず合格したいと思っていました。2年前に英検1級を取得しましたが、自分の英語力に満足できず、より難関である国連英検に向け学習を始めました。
公式過去問題集を購入したものの、余りの難しさに合格まで相当な時間がかかると感じたことを覚えています。しかし、自分の語学力をさらに高め、教員として生徒に自ら学ぶ姿勢を見せる必要性を強く感じ、覚悟を持って学習を開始しました。初受験では 2点差で落ちてしまいましたが、この悔しさがさらに学習意欲を高める原動力となりました。
【1次試験対策】
過去問題を見ると、難解な文章を正確に素早く読む力、高度な単語力、時事問題・国連についての知識、それらをアウトプットする能力が必要であると感じました。そのため日頃の学習から文章レベルの高い英字新聞・洋雑誌を読み読解力をつけ、また知らない単語は都度調べて覚えるようにしました。以下の新聞・雑誌を読んできましたが、国際問題への理解を深め、英語力を向上させるのに役立ちました。
特に英字新聞については Editorials (社説) を中心に読み進めました。ニュース記事よりも高度な英語で書かれていて、興味深い内容が多かったためです。上記に出てくる文章は読み始めた頃は難しく、心が折れそうになりました。しかし、粘り強く読み続けることで単語力と読解力が身につき、素早く正確に内容を理解できるようになったと思います。
また記事を読み進めながら 1次試験のライティング、2次試験のスピーキングで使いたい表現・文章を抜き出し、まとめていきました。加えてアウトプットもできるよう、抜き出した表現を使って英文を作り、それを音読するよう意識しました。日々これらのストックが貯まっていくことに達成感と喜びを感じ、楽しみながら学習を進めることができたと思います。多くの文章を読むことでコロケーションや頻出の構文・表現を習得することができ、結果として空所補充の問題、特に選択肢に似た意味の単語がある大問を得点源にすることができました。
大問1 の国連の知識問題については、過去問題を参考にするだけでは不十分であると初受験の際に痛感しました。覚えることが多く大変な作業にはなりますが、指定テキストに線を引き、読み進めながらノートにまとめる勉強法がシンプルですが大切だと思います。「新わかりやすい国連の活動と世界」は United Nations に関する知識が凝縮されていて興味深く、特に大問1、ライティング、スピーキングの学習に有効です。時間をかけて繰り返し読む価値がある、合格のための必読書であると改めて感じます。また、国連知識を学び、関連語彙を習得するために「Basic Facts About the United Nations」の興味のある分野を電子書籍でマーカーをつけながら読み進めました。
ライティングについては、過去 8年分の A級、特A級の模範解答を全てテキスト化し、1つのファイルにまとめました。これをリーディング教材と捉えて、重要箇所に色を付けながら読み込みました。決して効率の良いやり方ではありませんが、この学習を行うことで、下記内容を学ぶことができました。
これらを参考に自分の書きやすい英作文の型を作り、本番に臨みました。
英単語について、特A級の語彙は英検1級以上のレベルであるため特に力を入れて取り組みました。記事を読んでいて分からなかった単語を都度調べることに加えて、以下複数の単語帳にも取り組みました。どの 1冊も完璧に覚えることはできていませんが、未知語に触れる機会を増やすために、できる限り多くの本に取り組みました。
【2次試験対策】
2次試験対策は、1次試験を終えてから取り組み、以下の教材を使用しました。
2次試験を想定するのに役立ち、こちらを参考に対策方法を考え、準備を始めました。準備期間が短いと感じたので、洋雑誌・英字新聞を読むことを控え、可能な限り 2次対策に時間を使いました。試験当日は普段苦手としていますが、相手の目を見て話すことを意識しました。面接官のお二人が相槌しながら、和やかな雰囲気で話を聞いてくださり徐々に緊張が解けていったのを覚えています。
口語表現を学び、英語での日常会話を習得するために、通勤時間はアメリカ人やイギリス人の英語コンテンツを普段から聴いています。特に 2次試験に向けては、これらに加えて BBC, CNN, ABC News, NBC を聴き、時事の知識を英語で学ぶよう意識してきました。リスニングができればスピーキングもできるようになる、という訳ではないですが、繰り返し聴き続けることで頭にフレーズが残り、結果英会話の力も向上すると信じて取り組んできました。また、国際情勢や国連の取り組み、世界問題とその解決策について、問われそうな質問を箇条書きにし、その回答を調べながら英語で記入していきました。試験本番では質問に対して要点、現状を簡潔にまとめ、自分の意見を端的に述べることが求められます。そのため自作の想定問答集はそれぞれが長くならないよう注意して作りました。
2次試験では、多くの知識を持っていてもそれを表現し、相手に伝えなければ評価されません。そのため本番で即座に返答できるよう、上記台本を読み込んだ後に自分で質問をして何も見ずに独り言で答える、という練習を繰り返し行いました。試験への不安を解消するために、初めは文章を丸暗記したりしました。しかしこれには限界があり、覚えたことをそのまま話すと会話が不自然になってしまいます。結局私は暗記した文章を一度も話さずに試験が終わってしまいました。
また知識項目で得点するために、SDGs 17個の目標と国連機関(関連機関を含む)の正式名称、設立年月日、本部の場所、それぞれの特徴を全て暗記して臨みました。これらは試験で話さない内容が多いため、オーバーワークだったと思います。しかし国連機関について話す際には、これらの基本情報を補足として述べた後で議論を進めるようにしました。結果として面接官へ知識面をアピールできたと感じたので、苦労して覚えて良かったと思っています。
【おわりに】
この試験に向け学習する過程で、英語力を大きく向上させることができました。特A級の合格は長年の目標であり、憧れの気持ちを持ってこれまで学習に励んできました。国連英検の存在を知ってすぐに、この合格体験記を見て勉強法を探ったことを思い出します。英語は日々学習していても、向上を実感しにくいところがあります。そのため資格試験の合格を 1つ学習の目安にすることは有意義です。しばらく結果が出ず、努力が報われないという悲しい気持ちもありましたが、根本は英語に魅力され、多量の生きた英語に触れ、聴き、書くこと、そして声に出して読むことに深い喜びを感じて学習を継続することができました。どの言語も古くから異国の地でコミュニケーションに使われ、時代の流れと共に少しずつ変化しています。そこには風土、文化、歴史的な背景があるからこそ、英文それぞれに含まれる視覚的・聴覚的な美しさがあり、学びの過程に奥深さがあるのだと思います。
大学卒業後に学習を始めてからは、英語は私の趣味かつ人生の大きな軸であり、自信、目標、そして生き甲斐を与えてくれました。またこの試験に向け学習する過程で、国連や国際情勢に対する知識が身につき、我々が直面する世界の問題に目を向けるきっかけとなりました。
今後、国連英検特A級合格というこの結果を胸に、自信と誇りを持って生涯の英語力向上に努め、次の目標に向け英語学習を楽しみ続けたいと思っています。
読んでいただいた方が、私の言葉に少しでも刺激を受け、今後の学習の励みになることを願います。
保有資格» 国連英検A級 実用英検 1級 TOEICスコア 990点 英単語検定 1級 留学経験» なし 職業等 » スクール経営・予備校講師 |
【はじめに】
まず、国連英検を開催してくださった日本国連協会の皆様にお礼を申し上げます。この度は、国内で行われている英語検定試験の中で最高水準とされている国連英検特A級に合格でき、大変嬉しく思います。昨年の夏、国連英検の初受験を決め、2022年度第2回のA級と特A級を併願受験しました。A級は無事に合格できましたが、特A級は一次試験で不合格となりました。その時にリベンジを誓い、ひとり粛々と学習を重ねました。この自分と向き合った期間が、合格という形で実を結び、大きな喜びと成長を感じています。本試験にこれから挑戦される方々、また現在挑戦中の方々に私の体験が少しでもお役に立てればという思いと、陰ながら学習を応援してくれた方々への感謝の思いも込めて、合格体験記を書かせていただきます。
【受験動機】
主に二つあります。約 10年前から付き合いのある齊藤輝(2021年度第2回試験合格者)さんが、数年前から本試験に挑戦しているのを聞いていました。当時は、英検1級を優に超えるその英語の難易度に加えて、国連知識や国際情勢の知識も必要とすることからも、私には到底手の及ばない試験だと思っていましたし、関心すら持てませんでした。しかしながら、彼の楽しみながら目標を目指す姿勢は常に尊敬の対象でした。昨年の夏、当時の状況から自分の成長を求めていた私は、本試験の存在を思い出し、彼から本試験について詳しい話を聞かせてもらい(その際に学習アドバイスもいただきました)、この高い壁を乗り越えた先には大きな成長があると確信できたことがひとつです。受験するきっかけを与えてくれた齊藤輝さんに感謝します。ありがとうございました。もうひとつは、私はファッションが好きですが、合格するといただける合格カードとベルベット素材の合格証明書ホルダーがかっこよく、純粋に欲しかったというものです。
【一次試験】
<試験準備>
・大問2と大問8
前回の受験準備時から大問2 と大問8 に苦手意識があり、本番の試験ではそれぞれ 2点、3点となってしまい不合格の原因となったため、これらの得点の改善を意識した学習を中心としました。前者の対策としては、国連英検特A級過去問題集の大問Ⅱを主に使用しました。問題に取り組んだ後、「なぜ間違えたのか」、「何を見落としたのか」、「どこを勘違いしたのか」など、間違えた原因をよく分析することで改善の兆しが見えました。後者の対策としては、語彙力不足が主な失点の原因だと判断し、Foreign Affairs や The Economist などを読む中で、語彙やコロケーションを学習しました。私にとって、これらは内容面まできちんと理解しようとするとそれなりの時間を要するので、語彙とコロケーションの学習に目的を絞り、本来は流し読みをするようなものではありませんが「一丁上がり、一丁上がり」というようにどんどん読みました。主にこのような取り組みの結果、今回の受験においてそれぞれ 8点、5点と改善することができました。
・国連知識と英作文
直前 1ヶ月を迎えた頃に、数回分の過去問(大問1 国連知識と大問8 の英作文を除く)に取り組み、平均点が 8割を超えていたことから、直前 1ヶ月はこの 2つの学習に集中しました。前者については、出来るだけ早く前回の受験時と同等の知識量に戻すことに努めました。これにはそれなりの労力を要するかと心配していましたが、頭の中に一応の地図のようなものが残っていたことが幸いし予想以上に早くそこに到達したため、さらにプラスαの知識を頭に入れることとしました。後者については、どのテーマが出題されてもある程度対応できるように幅広く事前の準備を行い、シミュレーションを重ねました。その結果、20点中 19点の高評価をいただくことができました。独特の緊張感のある試験本番では、大問2 と大問8 で前回と同様に大きく失点する可能性も感じていました。もしそうなったとしても、「国連知識と英作文でカバーできるから何とかなる」と試験数日前までには思えるように取り組みました。
<使用教材>
主に以下の教材を使用して学習を行いました。
<試験当日>
本番では大問5 で苦戦するという想定外の展開になりました。大きく失点するとしても大問2 か大問8 だと思っていたため、その時は一次試験不合格の文字が頭をよぎりました。何の試験を受験するにしても、準備をすればするほど不足しているものを痛感し、もっとした方が良いことは次々と目の前に現れます。完璧な準備というものはありません。できる限りの準備することが重要です。必ず何かしらの形で役に立ちます。「モード後の世界(栗野宏文著/扶桑社)」の中に、「本は、ディレクションをするために読むのでは追いつきませんが、日頃読んでいる本はディレクションに反映されていきます」という記述がありますが、私はこのようなイメージを持ち取り組みました。試験中に厳しい場面を迎えても、蓄積した知識が救ってくれるのだと思います。
【二次試験】
<試験準備>
正直に申して、今回二次試験に一度で合格できたことには我ながら少々驚きました。私は、普段は指導する立場にありますが、恥ずかしながら、英語を実際に使う、話す、といったことに対する関心は希薄です(最近は関心が向き始めました)。一度で合格するのは難しいというよりも、むしろ合格すること自体が不可能ではないかと思いましたが、ここに重要なポイントがあったように思います。現状(合格できる可能性は極めて低いということ)を素直に認める、ということです。そして、変えようがないものはあきらめる(明らめる)ということです。例えば、それまでに普段から英語を実際に使う、話す、といった行動を取らずに来た時間は取り戻せませんし、自分の能力が急激に伸びることもあり得ません。二次試験が実施される日程も先には伸ばせません。それらを素直に受け入れた上で、できる限りの準備(相手=試験の特性を知る、自分の強みを研ぐ、弱みを見えないようにするには、など)に粛々と取り組んだことが今回の合格を生みました。あきらめる(明らめる)ということは、合格の可能性を捨てることではありません。むしろ、合格の可能性を少しでも高めるために必要なことだと考えています。
<試験当日>
当日は集合時間よりも 50分ほど早めに試験会場のある四谷のビルに到着し、1階にある喫茶店で時間を過ごしました。その間、今回の受験遠征を共に行動してくれた友人にいくつか質問をしてもらい、英語を話す口慣らしをしました。試験直前は、半年前に受験した A級の二次試験前は非常に緊張しましたが、今回は不思議とあまり緊張しませんでした。「できる限りの準備はしてきた。答えられるものは答えられるし、答えられないものは答えられない。どうせなら楽しもう。」とどこか開き直った心境であったように思います。実際の面接で二人の面接官から聞かれた質問については、内容と順番についてはうろ覚えな部分もありますが、以下のようなものでした。
面接では矢継ぎ早に質問が飛んできて、考えている余裕は一切なく、開始早々から目の前の質問に必死に返える流れとなる一方で、もう一人の自分が「岸まで戻れる距離で何とか耐えろ」と苦笑いしながらも、どこか冷静に見ているような感覚があり、その後も難しい場面はありながらも最後まで黙り込むことなく面接を終えることができました。最も困った質問は ⑧ でした。Quad は見聞きした覚えはあるものの、それが何はわからず、「推測で何かを話そうか、いや、Ouad とは何か聞き返してみようか、でも、その時点で不合格が決まるかな」と数秒黙り込んでしまいましたが、口から自然と出た言葉は「 Quad とは何でしょうか。」でした。その正直な雰囲気を感じていただいてかはわかりませんが、面接官の方は丁寧に教えてくれ、その後は自分が持っている知識を使い、答えられることを答えました。試験終了直後は「不合格だな」と思いましたが、落ち込むようなことはなく、むしろそれまで重ねてきた自分の取り組みに対する納得感と充実感に満ちていました。受験遠征をともに行動してくれた友人にも感謝したいと思います。一緒に楽しく過ごせたことも精神的にプラスに働いたに違いありません。
【重要な考え方】
二次試験の準備においては、現状を認め、あきらめ(明らめ)、できる限りの準備をすることが勝因となりました。2023年8月に公開された映画「オレンジ・ランプ」では、39歳の若さで若年性認知症と診断された夫とその妻が、様々な困難に直面しながらも、戸惑いや苦しさを受け入れ、「ではこれから何ができるのか」を考え行動に移すことで、夫婦で乗り越えて新たな人生を歩みます。ネットライフ生命の創業者で立命館アジア太平洋大学の学長である出口治明さんは、2021年1月に 72歳で脳出血により失語症と右半身麻痺となりましたが、リハビリ期間を経てその後学長に復帰されました。著書「逆境を乗り越える教養力(幻冬舎新書)」の中で、「未来をより良いものにするために、目の前の逆境をあきらめること(その支えとなるのは「知の力」とのこと)の重要さ」が書かれています。今回の受験を通じて、と言うといささかスケールが小さいような気もしますが、このような考えは、受験、仕事、ひいては人生においても同じであろうと思いますし、これからの私の人生においても様々な浮沈が訪れるかと思いますが、この度の経験が支えとなってくれると思います。
【終わりに】
今でこそ所謂難関とされる英語資格を複数取得していますが、私は英語がとても苦手な学生でした。高校生時代のセンター試験模試の英語筆記は 60/200点程度(センター試験自体受験していません)でしたし、所謂難関大学したわけでも、海外経験もありません。大学 1年生の夏の終わりに英語学習を基礎から開始し、途中学習を止めてしまっていた時期(英語学習のみでなく色々と停滞期)も経験しましたが、気づけばここまで継続して来ました。
私の場合、学生時代にスポーツに打ち込んだ経験を通じて、すぐに思うような結果が出なくても継続する力が培われましたように思います。振り返ればスポーツではもう一歩目指していたものに届かず非常に残念な思いもしましたが、今は、その時期に育てた木に、全く別の形の大きな果実がなったようにすら思えます。豊かな土壌を耕してくれたのは両親です。関心があることに特に不自由なく取り組める環境を与えてもらいました。そして、2人の兄弟です。この場を借りてお礼を伝えます。
まとまりのない文章となりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。私自身も今回の合格に至るまでの期間、折に触れてこちらの合格体験記を読むようにしていました。様々なバックグラウンドをお持ちの方々の学習姿勢に大変感銘を受けました。私の体験が、お読みいただいた方々の背中を少しでも押すものとなれば幸いです。
保有資格 » 実用英検 1級 TOEIC スコア 990点 Cambridge CELTA 中高教員免許(英語、社会、地歴公民) 留学経験 » ロンドン(約10か月) 職業等 » 予備校講師 |
【はじめに】
この度は、国連英検特A級という難関資格試験に合格することができ大変光栄に存じます。この合格体験記が、今後国連英検に挑戦する英語学習者の方々の参考に少しでもなれば幸いです。
【使用教材と勉強方法】
1次試験
指定教科書は受験の半年ほど前に購入しましたが、本格的な勉強は 3か月ほど前になってからでした。国連に関する知織はほぼ皆無でしたので、とにかく繰り返し読み直し、内容を少しずつ記憶に定着させていくことを心がけました。まずは日本語の記述を読み、知織がある程度付いてきてから英語部分を学習しました。
過去問集は計3冊(6年分)取り寄せましたが、実際にはその半分くらいを解き、出題形式を分析し時間配分を体に染み込ませました。英作は模範解答を参考にし、優れた解答のイメージをすり込みました。
それと並行して、購読している英字新聞の The Japan News の記事なかで時事問題を扱ったものをスクラップし、自分用の「対策本」を作りました。重要な社会問題は定期的に記事になるので、繰り返し用いられる表現や論点を記憶するのに役立ちました。普段から英字新聞を読む習慣があったことは、堅牢な英語力の下地を涵養し、時事問題への心理的ハードルを下げるのに役立ちました。
2次試験
2次試験の面接に向けては、1次試験で使用した教材と勉強方法に加えて、国連と世界情勢に関する知識を急速に獲得する必要を実感し、またスピーキング力の強化のために NHK WORLD-JAPAN を 1日に 2~3時間ほど視聴しました。特にニュース番組や討論形式の番組は重点的に視聴し、固有名詞の発音や面接での議論に使えそうな言い回しを覚えました。また YouTube の動画や国連英検のウェブサイトに掲載されている合格者体験記なども参考にし、面接の様子をイメージトレー二ングしました。
尚、面接で聞かれた質問には以下のようなものがありました。
それぞれの質問は十分想定できる範囲内でしたが、そこまで踏み込んだ質問をされなかったのは幸いであったと思います。私は試験前に出題内容をいくつか予想するということもしませんでしたので、投げかけられる質問に、まずは浅く広く、可能なら具体例や自分の考えも交えながら、その都度答えていくことを意識しました。あまり上手に答えられない質問もありましたが、背伸びをすることなく自分が持つ知織と理解の範囲内で答えることに集中しました。
ロシアのウクライナ侵略をめぐる国連の活動については、ICC (国際刑事裁判所)がプーチン露大統領に逮捕状を出したことに触れ、「即座の逮捕の可能性は低いが、侵攻が過ちであるという強力なメッセージを国際社会に伝えることになる」とまとめました。また SDGs の目標に関しては、気候変動対策を掲げた Goal 13 について自分なりの考えを述べました。
以上のように、一部の質問に対してであっても、具体的な活動や数字に触れ、自分の意見を述べることができれば、面接官を納得させることができるのではないかと考えます。もちろん百戦錬磨の面接官の方々ですから、小手先の知織を披露したり自分を大きく見せようとしたりしたところですぐに見破られてしまいます。この点を肝に銘じて、私はできるだけ自然体を心がけました。
【終わりに】
国連英検対策の醍醐味は、英語の勉強と並行して国際情勢にも通じることができるという点ではないでしょうか。私自身、試験対策をするなかで時事問題に関する知識も強化することができ、世界情勢への興味も大いに刺激されました。その点で、国連英検は唯一無二の存在であり、このような試験が存在することに心底感謝するところです。
正直私にとって今回の合格は大変な幸運の結果であり、国連を始め世界情勢への知識も英語力もまだまだ不十分であると感じております。そのため今後もさらに勉学に励み、本当の意味で納得のいく合格を勝ちとれるよう挑戦を続けたいと考えております。
保有資格» 実用英検 1級 TOEIC L&R スコア 985点 英単語検定 1級 留学経験» アメリカ(10ヶ月) 職業等 » 会社員 |
■ はじめに
この度は、国内最難関の英語試験と評される国連英検特A級に合格できたことを大変嬉しく思います。私の体験記では、使用した教材と国連英検特A級の各大問別の対策と共に、私の英語学習に対する考え方について記させていただきます。
■ 使用した教材
■ 勉強方法
まずは一次試験から順を追って記載したいと思います。 次にエッセイと二次試験について記載します。
エッセイと二次試験は国連の知識が試されるという点で共通しています。そのため、先述の通り、『新 わかりやすい国連の活動と世界』を読み国連に関する知識の基礎を固めることは重要だと思います。加えて日々 Podcast で UN News、NHK WORLD RADIO JAPAN、CNN 5 Things、ABC World News Tonight、NBC Nightly News、PBS News Hour などを時間のある時に聴くようにし、世界情勢や国連関連のトピックについて情報を収集するようにしました。また、大学で専攻していたジェンダーやそのほか気候変動など興味を持っているトピックについては国連との関係性について調べ、詳しく話せるようにしました。一次試験から二次試験まで時間も限られていますので、日々の学習を大切に、ライティングにもインタビューテストにもどちらにも対応できるように準備を進めることが理想的だと思います。
■ おわりに
国連英検特A級は国内最難関の英語試験であり、問われる受動語彙力も 20000語 〜 25000語水準となっています。本試験の合格を目指して勉強することで日々英語を処理する上で語彙力では不自由することのない堅固な語彙力を取得することができると考えます。すなわち、20000語水準の単語を辞書なしで理解ができ、英語で書かれた作品を作品として楽しめるようになるための英語学習のマイルストーンに本試験は最適であると思います。
さらに、合格のためには国際問題についての知識を収集する必要があることも必要です。本試験を通して私たちを取り巻く国際社会と向き合い、知識を蓄えることにより、各問題について自身の意見を自身の言葉で表現する術が身に付くと感じます。それはまさに日本国際連合協会が示している「真に役立つグローバル・コミュニケーションとしての英語力」であり、国連英検特A級はその力を養い、測るための試験であると思います。
保有資格 » 実用英検 1級 留学経験 » なし 職業等 » 東京大学教養学部 2年 |
こんにちは。今回国連英検特A級に合格した梶川泰地と申します。
国連英検特A級は 1次試験は 3回目、2次試験は 2回目で合格しました。以下 1次試験と 2次試験の対策について話します。
1次試験については過去問演習の他定期購読していたニューヨークタイムズや国連ニュースを読み込みました。また英字新聞は読めてもハイレベルな単語は知らないものが多く、問題の選択肢に並ぶ単語の意味が分からないというようなことがありました。そこで gre vocabulary flashcards というアプリやジャパンタイムズから出ている英英英単語(超上級編)を使って高難度の単語を覚えました。試験当日まで毎日やり続けることが肝です。ある程度覚えたら単語とその裏に定義を英語で書いたオリジナル単語カードを使い、定着を図りました。分量は相当多いので一日で全部やるのではなく例えば今日は 1 から 100番までというように分けて数日あるいは週単位で回すことをお薦めします。過去問演習を始めたのは試験の一か月くらい前からです。特A級のような難易度の高い試験を受ける場合にはいきなり過去問に手を付けるのではなく上に述べたような単語力などの基礎的な力を先に着けるといったフットワークをまず身につけましょう。演習の際には試験時間 120分計り本番さながらのような雰囲気でやり試験の感じをつかみましょう。合格最低点は公開されていませんがおおよそ 7割とれれば合格するでしょう。英作文(20点分)は自己採点が難しいですが、客観式問題(80点分)でいかに失点を抑えるかが鍵です。国連の知識を問う最初の問題は「分かりやすい国連の活動と世界」を読んでいれば解けるサービス問題です。失点は極力抑えたいですがわからなければ勘でやりましょう。また間違えた問題についてもそれが単語を知らなかったからなのか、誤読していたからなのかなど必ず分析をし解きっぱなしにはしないようにしましょう。また正解した問題についてもそれがまぐれだった場合には今度は自信を持って正解できるようにするために必要なことを考えましょう。間違えた問題を集めたノートを作ったり付せんをはって目につきやすくするなど工夫をするのもいいかもしれません。英作文については日頃の習慣がものを言います。英語で日記をつけたり英字新聞を読んでそれに対する自分の意見を文章にするといったことを日頃から実践しておくといいでしょう。
2次試験では自分で国際事情に対するアンテナを張り、それにたいする考えを簡潔かつ的確に英語で発言できるかが試されます。言うまでもなく1次試験での「読む」に焦点を置いた対策に加えて「聴く」にも重点を置く必要があります。以下に実際に自分がこの2つにおいて実践したことを紹介します。
読む
各種英字新聞から興味のある記事を選び、その記事を声に出して読む。
(各種英字新聞とは The Guardian、The Washington Post、Voice of America、UN news、Fox news,、CNN などでありそれらを日替わりで詠む)
聴く
NHK English News を毎日聴いてシャドーイングあるいは一緒に発音するオーバーラッピングをする。
Washington Post のアプリを使い、読み上げられる記事を聴いて理解する。
New York Times のポッドキャストをシャドーイング/オーバーラッピングにより聴く。
これらを実践し日常でも英語で話し国際情勢について主張ししそれに対して別の自分が反論し、また再反論するといったことをしてみるのも面白いかもしれません。試験は 15分ほどでラフな会話から始まりこの試験を受けた動機、将来像から始まり環境問題、戦争、国家間の対立まで幅広いテーマについて次から次に聞かれます。たとえ完璧に答えられなくてもすぐに頭を切り替えて質問をよく聞いて答えるようにしましょう。また国際問題への知識に加えてコミュニケーション(アイコンタクトや相槌など)や発音、流暢性も評価されるためそれらもおろそかにしないようにしましょう。2次試験では総合で 10点中 8点以上取れれば合格です。
以上 1次試験と 2次試験についての対策を述べました。合格した時は嬉しかったですし将来の展望も多少は広がった気がします。試験までの時間は限られておりやれることも制限されてしまうかもしれませんがそれでも時間を投資して努力する価値はあると思います。
末筆になりますが皆さんの今後の健闘と晴れての合格を心より祈願する所存であります。
保有資格 » TOEIC スコア 940点 フランス語検定 2級 DELF B1 留学経験 » ボルドー政治学院(フランス) 4カ月 職業等 » ビジネスコンサルタント |
【はじめに】
この度は、合格体験記寄稿の機会をいただきありがとうございます。今回、目標としていた国連英検A級に合格することができ、とても嬉しく思うとともに、これから本試験を受験される方にとって以下の体験記が微力ながら参考になればと思っています。
私は日本生まれ、日本育ちでフルタイムの仕事をしています。高校生の時に国連英検B級に合格しましたが、業務の中で環境や社会課題に対して多様なプレーヤーが協業する重要性を認識したため、改めて国際情勢について知識を深めつつ、国際機関の役割について学べる本試験にチャレンジすることにしました。
本試験は語学力よりもむしろ、国際情勢や国連についての理解が問われるものと理解しています。私は専門的な英単語に詳しいわけでも、時事ニュースへの理解に特出しているわけでもない上に、仕事をしながら短期間で試験対策を進めたため、満点を目指すよりも効率性を重視して、幅広に理解し、試験全体で大きな弱みがない状態で受験することを試験対策の方針としました。
【試験対策】
➢ 一次試験(学習期間1カ月、平日2時間/日、土曜日3時間/日)
A級の一次試験は、(1) 短文・国連知識、(2) 長文・文法(単語の活用)、(3) 長文・文法(語順)、(4) 短文・単語、(5) 短文・文法(間違い探し)、(6 )長文・単語、(7) 長文・イディオム、(8) 長文・単語、(9) エッセイからなります。各設問の英文は実際のニュースの引用や直近の国際的な時事問題に関連している文章です。
試験勉強で使用した参考書は以下の二点です。
・新 わかりやすい国連の活動と世界(三修社)
・国連英検過去問題集[2019・2020実施] A級(三修社)
試験対策は、「新 わかりやすい国連の活動と世界」を繰り返し読み、過去問で間違ったところを確認して進めました。
「新 わかりやすい国連の活動と世界」は両言語で書かれているため、実際の内容は 150ページ程度で数日で読むことができます。この参考書の内容がそのまま (1) 短文・国連知識に出てきますし、(9) エッセイを書く材料にもなります。学習のポイントとしては、全文を暗記する必要はないため、過去問練習と並行で進め、よく聞かれる観点を確認しながら要点を絞って読み込むのが良いと考えます。
「国連英検過去問題集[2019・2020実施] A級」にある過去問題は、① 回答 → ② 丸付け → ③ 復習メモの作成のサイクルで 4回分解きました。以下が各ステップにおけるポイントです。
① 回答:時間配分の把握、見直し箇所のチェック
まず通しで回答することで自分なりの設問 (1) ~ (9) の時間配分を把握できます。特に得点配分が大きい (9) エッセイに試験当日に時間を残せるよう、大問ごとに自分の中で使える時間を決めておくのが良いと思います。また、回答中に分からない単語や、勘で選択した問題があったら問題文や解答用紙にチェックしておきます。別の年度で質問されるかもしれないし、勘で正解しても実力ではないので後で見直せるようにしておくのが良いと思います。
② 丸付け:強みと弱みの把握
丸付けの時には、各大問での自分の強みと弱みを把握します。伸びしろがあるのは後者ととらえ、私は単語力がなかったため以降の復習メモで作成した単語帳を朝と寝る前に読むことを試験対策に加えました。ちなみに (9) エッセイは設問に対して 1つの正解があるわけではないため、構成(自分の主張、考えの背景・理由、反対や別の視点の考え、結論)を素早く組み立てることと、解答例と見比べて追加できる要素がないかという観点を意識して回答と丸付けをしました。
③ 復習メモの作成:弱みを点数に変える
丸付けの後に、間違った部分に加え、勘で回答した部分も含め不明点を確認するようにします。その際に (1) の出題内容や、長文や (4) (6) (8) の知らない単語をまとめて復習メモを作ります。2回目以降の過去問を解く前だけでなく、当日の試験前にも見直せるため役に立つと思います。
上記の対策により、(1) ~ (9) の全体的な理解の底上げを図ることができたと考えます。
➢ 二次試験(学習期間 1カ月、平日 30分/日)
二次試験は約10分の面接です。評価項目は、Comprehension、Spreaking(Pronounciation、Fluency、Structure、Vocabulary)、Communication、Knowledge (International Affairs)で、試験勉強で使用した参考書・サイトは以下です。
・国連英検特A級・A級面接対策(三修社)
・United Nations Noon Briefings
二次試験のポイントは以下の 3点です。
① 参考書や記事を使ってイメージトレーニングをする
上記の参考書には実際の質問や、それに対する高得点の回答と不合格になりやすい回答例が示されており、参考書を声に出して読むだけでも良いイメージトレーニングになります。また、一日 30分 United Nations Noon Briefings 等のまとめ記事を読みながら幅広いテーマに触れ、自分なら面接でこう答えるというイメージを持つと良いと思います。これにより面接の質問内容も入ってきやすくなり、Comprehension の得点を得られると考えます。
② 自分が話せる分野をプロフィールに記入する
試験では事前にプロフィール用紙を記入し会場に持っていくことができます。試験官はその場でプロフィールを見ながら質問してくださるので、10分中 約5分はプロフィールに記入した自分の趣味や関心のあるテーマについて、自分のペースで話すことができました。自分の関心があるテーマについては、関連する国連機関やニュースをインプットしておき、専門用語や具体的な数字、事例等を交えて頭を整理して話せると、Spreaking (Structure、Vocabulary)や、Knowledge (International Affairs)で得点を狙えると考えます。
③ ありのままの自分で楽しみながら受験する
Communication の得点に関して、試験当日はこれまで努力してきた分緊張することもあると思います。緊張してうまく話せなかったり、頭が真っ白になりそうになったりしたら、身に着けた実力以上の自分を見せようとせず、試験官との会話を楽しむ気持ちで臨むと良いと思います。試験官も人ですから、おもしろい話は盛り上がるし、少しつまずいても時間を取ってくれます。私の場合は試験官の雰囲気が知人に似ているなと思いながら、知人と話すつもりで敬意と親しみやすさをもって話していたら 10分はあっという間でした。
➢ その他
試験対策ではありませんが、スキマ時間にやっていて役立ったことを共有します。私はメールマガジンやSNS (LINE、Instagram)でサステナビリティに関するメディアをフォローしたり、国連機関や NGO のサポーターになることで定期的にレポートが届くようにしたりしていたため、日常的に国際的な問題について情報が入ってきやすい環境づくりができていたように思います。また、同僚や友人と記事について話したり、シェアしたりすることで意見をアウトプットすることにも抵抗がありませんでした。
【おわりに】
上記の内容が少しでも皆さまの学習に役立ち、チャレンジするきっかけになれば幸いです。
私も試験には合格しましたが、国際情勢は日々更新されるものです。世界で起こっていることには常にオープンでありたいので、これからも継続的に情報を得て学習をしていきたいと思っています。
保有資格 » 実用英検 1級 職業等 » 高校教員 |
国連英検A級に合格できましたことを大変嬉しく思っております。
実用英検1級を取得してから 30年が経ち、再び英語検定試験に挑戦することになるとは思っておりませんでした。今年度より「英語検定試験対策講座」という選択科目を担当することになりました。生徒がそれぞれの検定試験目標をたてクラス発表する中で、担当教員として自分もその取り組みに参加したいと感じ、前期は国連英検A級、後期は国連英検特A級の取得を目標としました。
受験を決めてからは、まずテキストの「新わかりやすい国連の活動と世界」を読みました。読み進めながら、全てが重要に思え、どこをどのように学習すべきか不明でした。国連英検特A級を取得した同僚に相談したところ、まずは過去問を解くとよいとの助言がありました。過去問を解くことにより、テキストのどの点を重点的に学習すべきかが見えてきました。その後は、テキストを片手に、試験直前まで過去問(2013年度~2020年度分)に取り組みました。
一次試験においては、まずはエッセイ論題「Discuss the UN’s role in disaster relief; additionally, focus on one specific example」を確認しました。長文問題ではアフガニスタンの現状が扱われておりました。もしかすると disaster relief の specific example として使えるかもしれないと考えながら読み進めました。おかげで、残り少ない試験時間内でも落ち着いて、エッセイに取り組むことができたと感じています。
二次試験においては、UN について具体的な質問がされると覚悟していましたが、実際は時事について自分の感じていることを語ることが求められました。それを基盤にいろいろと質問があり、より内容を深めていくプロセスでした。面接を受けながらも学ぶ機会に恵まれると言った充実した対話となったと感じています。
授業内で学生たちに開示した前期目標を達成できたことに教員として安堵、個人として喜びを感じています。次回は特A級への挑戦です。語彙力が弱点であることはA級受験を通じ痛感しましたので、その点と時事問題を中心に、勉強に引き続き取り組みたいと考えております。このような機会を設けていただき、心より感謝いたします。
保有資格 » 実用英検 1級 留学経験 » 2歳から 5歳までアメリカに居住 職業等 » 市川中学校 2年 |
きっかけ
英語学習のモチベーションアップのために、実用英検1級よりも難しいと言われている国連英検を受けてみようと思ったのがきっかけです。
参考教材
『新わかりやすい国連の活動と世界』
『国連英検過去問題集2019/2020』
『国連英検特A・A級面接対策』
『The Soul Of UNICEF:Secrets of Building the World’s Most Loved Organization』
『The New York Times』
『BBC』
勉強内容
一次試験では『新わかりやすい国連の活動と世界』を読み進めながら、過去問題集を一通り解きました。自分の知らない情報についての文章が出ると点数が低くなる傾向があったので、ニュースを BBC や The New York Times を利用してインプットしました。エッセイは出題される問題をニュースから予想して二本ほど書き、学校の先生に見てもらいました。二次試験は期末試験前日だったのであまり対策が出来なかったのですが、ニュースは欠かさずチェックするようにしていました。
受験した感想
一次試験は順調に進み、準備していたエッセイの内容もさらに充実させることができました。設問7、8 では内容が難しかったため理解が薄く、十分得点できませんでした。SA級を受けるとしたら、さらにレベルアップが必要です。二次試験は、試験会場の案内役の方が緊張をほぐしてくれたため、リラックスして面接に臨めました。面接時間は、お話しするのが楽しくて、あっという間に時間が過ぎていました。国連英検は大人向けの資格というイメージがありますが、中学生でもしっかりと準備すれば挑戦できる試験です。何より、試験対策するうちに国連について深く知ることができて、私は、UNICEF について興味を持ち『The Soul Of UNICEF:Secrets of Building the World’s Most Loved Organization』という素敵な本に出会うことができました。
保有資格 » 実用英検 1級 留学経験 » 家族の赴任によりアメリカ合衆国に 4年間滞在 職業等 » 渋谷教育学園渋谷中学校 2年 |
この度は国連英検A級に合格することができ嬉しく思っています。私の合格体験記が、これから受験を考えている方に少しでも参考になれば幸いです。
【一次試験】
国連英検指定テキスト「わかりやすい国連の活動と世界」を中心に国連の基礎知識について理解するようにしました。
国連に関する知識を問われる問題は過去問をやり、まちがえた問題は「わかりやすい国連の活動と世界」で答えを確認し、重要な部分を蛍光ペンで引き覚えました。また、テキストを一通り読んでいないと答えられないような問題も出たので、間違えたところだけでなくテキストを一通り読むことをお勧めします。
他の読解問題、文法問題などに関しては学校の学習で充分だと判断した為、数回過去問を解いたまでです。間違えた部分は答えを確認し理解できたならばそれでよしとしていました。
エッセイも同様特に対策はしませんでしたが、文字数の感覚などを掴むために最低一回は実際に書いてみることをお勧めします。私は一回通しで書いてみた後、もう一回リサーチなどを加えて書き直すことも試しました。
【二次試験】
面接では、自己紹介などを聞かれた後、「今注目してる、または興味を持っている話題に関して好きに話してください」と言われました。少し戸惑いましたが、事前に渡され提出していた面接シートに書いた話題について話しました。私は通学中の時間に UNニュースなどを見て興味のある話題をチェックしていたので、スキマ時間などを有効活用できるという点でおすすめです。「この話題面白そう!」と思ったものはその場で検索して深掘りし、ネタとして頭に留めとくといいです。「国連との関係性」について考える癖をつけると面接で役立つのではないでしょうか。
【使用テキスト】
・わかりやすい国連の活動と世界
・国連英検特A級・A級対策
・国連英検過去問題集
・国連英検特A級・A級面接r対策
・The New York Times,UN news,TIME (興味がある記事を通学中などに目を通しました。)
今回国連英検受験をきっかけに国際情勢や国連の働きや活動について学ぶことができるよい機会でした。今後は特A級にも挑戦したいと思います。
保有資格 » 実用英検 1級 職業等 » 塾講師 |
この度は国連英検A級に合格することができ、また寄稿の機会をいただきましてたいへん嬉しく光栄に思っております。
2022年第2回の英検1級に合格後、自然に次の目標として国連英検A級を選び、幸いにも一度の受験で辛くも合格することができました。しかし国連英検A級は考えていた「次の目標」などという単純なものではなく、実に様々なことを私に教えてくれたと思います。特A級私にとってまだまだ遠い目標ですが、A級のための勉強でさえも人生を変えてくれたと思えるほど大きなものになりました。世界情勢の知識、英文ニュースを読めるようになる語彙力、そして何より国連という組織がこんなにも大きく、様々な働きをしていたという事実を国連英検を通じて知ることができたことが大きな糧になりました。
[一次試験対策]
・テキスト
① 新わかりやすい国連の活動と世界
② 国連英検特A級・A級対策
③ 国連英検A級過去問題集
④ 世界の経済・政治・社会問題の知識と英語を身につける(植田一三編著)
大問I の国連の知識問題の形式が変わって、同じような問題だけでなくいろいろな問題が出ると知ったのがテストの少し前であせりました。過去問を買う際は注意したほうが良いかもしれません。
植田一三先生の本では、基本的な世界情勢をかいつまんで学ぶことができ、第5章の「世界平和と国連」にはわかりやすくコンパクトに国連のことが説明されており、茫洋とした「国連」というもののアウトラインを掴むのに非常に役立ちました。
これらの本の他、Coursera でいろいろなコースを受講していたことが自分の英語力と語彙力をいやがうえにも押し上げてくれたと思います。途中で脱落したくないのと楽しいのとで自然と英語力がつく手段だと思います。単語の本は使っておらず、自分の読んだ文章の中で出てきた知らない単語をノートに書いていって覚えていきました。
世界情勢やニュースは、まず UN News をざっと読み、日経新聞で拾って切り抜き、BBC、ASP(American Security Project)、NHKニュース英語版などで確かめることが多く、Foreign Affairs と The Japan Times はメールで記事の一部だけ読んでいました。 国連英検で使われる語彙は、ヨーロッパ言語との関連もあるのかやや独特なものがあると思いましたが、過去問や UN News をよく読むようにすると慣れるかと思います。言葉のバックグラウンドにあるものや、文化などの付加価値を併せて楽しむことが言語を学習する醍醐味だと感じています。
[二次試験対策]
世界のニュースや、AI やエネルギー関連、戦争などの新しい話題、過去問の英作文の答えを自分なりにノートに書いて何度も音読しました。スペースを使った練習会でも鍛えられました。国連機関の数々のビデオ(WMO、IAEA、PKO など)、合格者のブログにも助けられました。
実際の試験では想定していたような詳しいことは聞かれませんでしたが、一つの質問に対して 2文ぐらいで答え終わってしまい、面接官の方がさらに質問して答えを促す、という感じでしたので、もっと積極的に自ら知識を出し長めに答えるべきだったと後悔しています。
聞かれた質問は、
・好きな国連の専門機関とその理由
・どうして国連英検を受けたのか
・現在の国連加盟国数
・AI の台頭についてどう思うか、問題点は何か
・SDGs はいくつあるか、また世界をより良くするためのゴールを一つ選ぶならどれか
・UN が変えるべき所はどこか、UN の役割は何か
・面接カードに書いたことの質問
だいたいこのような感じでした。
とにかくとても和やかに楽しく進み、もっと話していたいぐらいでした。最後に試験を実施してくださってありがとうございました、とお礼を述べて終わりました。合格を自分では確信したものの、結果はギリギリの「8」で、合格通知を見てヒヤッとしました。
もっと若いころにこの試験を受けていたら、国際機関で働くなどの道に進むことを考えていたかもしれません。受験を考えている方には、ぜひ早めに受けてみることをお勧めいたします。
終わりに、このような機会を与えてくださった国連に、感謝の言葉を述べて結びにしたいと思います。
どうもありがとうございました。
保有資格 » 実用英検 1級 TOEIC スコア 965点 留学経験 » なし 職業等 » 会社員 |
1. 受験の動機
海外出張時の英語での交渉、英語でのプレゼンなどが、仕事上、年に数回あるため、オンライン英会話を中心にコミュニケーション力を磨いてきました。2019年頃からは様々な社会問題について「英語で議論をする」ことを目標に据え、試行錯誤を続けています。その目標の達成度合いを測る目安として、また、日々の学習のモチベーション向上のため、2021年に実用英検1級、今年、国連英検A級を受験しました。どちらの試験も、発信力を含めた英語の総合力を測る良い指標になりますが、特に国連英検は、「英語で議論をする」ことを目標にする学習者にとって最適であることを実感しました。その理由を含め、同じような目的意識を持つ方たちの参考になればと思い、合格体験記を共有させて頂きます。
2. 普段の学習法
今回、合格を頂けた理由の 8割以上は普段の学習によるものだと思います。「英語で議論をする」目標のために行っているのは、以下のような学習法です。
オンライン英会話スクールのレッスン(25分間)を毎日1回受講。私は海外在住や留学の経験が皆無なため、そのハンデを補う上でこれほど有効な手段は他にありません。スクールの WEBサイト上で毎日更新される「デイリーニュース」という教材を使って勉強しています。Science & Technology、 Culture & Entertainment、Economy & Business、Health ・・・と幅広いカテゴリーから毎日 3 ~ 4 本の記事が更新されるので、飽きることなく、また特定の分野に偏ることなく学習を続けられます。意識しているのは、受け身にならないこと。記事を読んだあとの講師との議論で自分の意見をなるべく言うのはもちろんのこと、ボキャブラリーの学習においても、単語や例文を読んだあと、必ず、自分自身で例文を作るようにしています。新しい英単語や表現との出会いを、読む・聞くといった理解力の向上だけでなく、話す・書くという発信力の向上の機会に変えていきたいという思いからです。また、レッスン終了後には、その日読んだ記事について自分はどう思うか、英文で書く習慣も続けています。忙しくて 1行や 2行しか書けないこともありますが、英語学習をインプットで終わらせず、常にアウトプットと組み合わせるというマインドセットを持つことが、議論が出来るインタラクティブな英語力を鍛えるために最も必要だと考えております。
その他、通勤などの隙間時間には NHK World の英語ニュースを聞いたり、やはり NHK教材の「杉田敏のビジネス英語」を繰り返し聞いて声を出さずにシャドーイングをしたりしています。特に後者は、環境問題やジェンダー、AI、高齢化社会、フードロスなど現代社会の重要な課題を積極的に取り上げ、登場人物たちが深い洞察とともに会話をするという内容のため、議論できるような英語力を目指している方、また国連英検A級の受験者の皆さんにも自信を持っておすすめできます。
3. 1次試験対策と実際
国連英検の 1か月半前に下記 3冊を購入し、試験に的を絞った勉強を始めました。
問題Ⅰ「国連関連知識」に関しては、① を読み、② ③ で出題の傾向を把握する以外に学習のしようがありません。普段の英語学習で時事問題については関心があるものの、国連や各種機関の役割や歴史などをまとまって学ぶ機会はなかったので、最後まで細かい年号や数字については苦労しました。
問題Ⅱ ~ Ⅷ は、読解力や文法知識、語彙力を測る一般的な試験と大きくは変わりません。全てを満遍なく学習できれば理想的ですが、時間が限られている場合、最も効果的に得点に結びつくのは、間違いなく語彙力の増強です。長文読解も文法問題も、使用されている単語の意味さえ分かれば正解に近づけるからです。そのため、過去問で出題パターンを把握した後は、「キクタン英検1級」を使い、英単語や熟語を一つでも多く暗記するよう努めました。まさに短期間の詰め込み学習ですが、実際に試験を受けてみて、その効果は実感できました。「直前期は語彙力強化」がおすすめです。
一方、全く違うアプローチが必要なのが問題Ⅸ の英作文です。最近の出題傾向を見ると SDGs 関連のテーマが多いことが分かります。まずは国連の SDGs のサイトから 17 の目標に関して分かりやすくまとめられた資料をダウンロードし、繰り返し音読しました。また、UN News のメールマガジンを通勤時にチェックするようにしていました。疲れて英語記事を読む気力がないときは、UN News のサイト上にある News in Brief という音声コンテンツを聞くようにしました。国連関連のニュースが毎日 3分ほどの時間に凝縮されてコンパクトに聞けるのでおすすめです。
上記のような対策で臨んだ 1次試験。心配していた通り、弱点の国連関連知識は最後まで克服出来ず、10点中 6点という惨憺たる結果でした。英作文も予想していた SDGs そのものではなく、災害時の国連の役割を具体例で示せ、というものでした。残り時間は 30分。パキスタンの洪水について書くことに決め、国連の役割を情報収集や支援の呼びかけ、食糧援助、インフラ復興などに分けて説明することでなんとか体裁を保ちましたが、具体性に欠ける内容でした。結果は 20点中 16点と不満の残るものでした。
4. 2次試験対策と実際
2次試験は、「英語で議論する」目標を掲げている私にとって、これまでの学習の成果を試すまたとない機会です。また、不完全燃焼に終わった1次試験・英作文のリベンジをしたいという思いもありました。そのため、Interview Sheet に書く内容を早めに検討し、「Interest(興味のある事柄)」の項目に書くテーマに関しては、より重点的にニュースをチェックしたり、スピーチ原稿を考えたりすることを心がけました。中でも強い興味を持っていたのが、いま最もホットな話題である AI でした。現時点では、国連と AI の関わりはそれほど強くはありません。しかし、生成AI の想像を超えた急速な発達により、将来、AI が人類の知能を上回り、人類絶滅の危機を招くことすら心配されています。企業の自由競争だけに任せず、国際的な機関が AI の健全な利用や開発を監視する仕組みづくりが必要です。そうした観点から AI と国連の関わりについて語ってみたいと思い、UN News やその他のニュースサイトでも AI 関連のニュースをチェックし続けました。すると、2次試験のわずか 3日前に大きなニュースが飛び込んできました。スイスのジュネーブで、国連と ITU(国際電気通信連合)が AI for Good Global Summit を開催したという、まさに自分が最も知りたかった国連と AI の関わりについての最新動向です。すぐにサミットについて調べ、ITU 事務局長による基調講演の動画を繰り返し見るなど、自分のスピーチに活用できるよう情報収集に努めました。
そして迎えた試験本番。自己紹介のあと最初の質問は Interview Sheet と関係なく、国連が気候変動などについて果たしている役割についてどう思うか、というような一般的な内容でした。「国連は重要な役割を果たしている。例えば昨年のパキスタンの洪水でも必要な食料や物資を届けるなど人々を助けた」「気候変動に関しても、国際的な会議を継続して開き、人々の意識を高め、気温上昇を抑えるための方策を議論するうえでリーダーシップを果たしている」整理をすればそんな類のことを話しました。話しながら、自分でも凡庸な内容だと自覚していました。しかも、"UN plays an important role" というような言い回しを 3回くらい繰り返して使ってしまい、redundancy(冗長さ)の面でも最低だな、と思いました。
なんとか挽回しなければなりません。すると、試験官が Interview Sheet を見て「私も AI に興味がある」と言われ、まさに自分が話題にしようとしていた AI for Good Global Summit について言及されたのです!「自分はまだ運に見放されていない」と感じました。「AI と SDGs についてどう思うか」と聞かれたので、私は「AI for Good Global Summit の基調講演を聞いて感銘を受けた。それまで、AI と SDGs はあまり関係がないと思っていたが、大いに関係があると知った。SDGs の多くのアジェンダはウクライナ戦争など予想外の出来事で大いに達成が遅れている。AI の力を活かしてそれらをもう一度軌道に乗せることが大切だと思う」と伝えました。それに対し、試験官から「一方で AI は多くの職を奪うなど人類にとって脅威でもある。どう付き合うべきか?」という趣旨の質問が続きました。「規制と活用のバランスが大事。原子力における IAEA のような監視機関(watchdog body)を作るべきだ。」と私は持論を返します。最後の質問は、「あなたにとって理想的な AI との付き合い方は?」というものでした。「生成AI の時代はまだ始まったばかり。私も専門家ではなく詳しくは知らない。大切なことは、皆で集まり、議論をし、AI の力を SGDs の達成など良い方向で活用できる道を探ることだと思う」と答えました。
2次試験の結果は、Pronunciation と Vocabulary が10点中 8に留まるなど課題もありましたが、総合評価で 9を頂けました。AI 以外の質問が来ても対応できるよう準備はしたつもりですが、やはり、自分が一番しゃべりたかったことをしゃべらせてもらった幸運が大きかったと思います。
5. 最後に
実用英検と国連英検をどちらも受けてみて、改めて、「英語で議論する」ことを目標にした場合、国連英検のほうが学習のベンチマークとしてふさわしいと感じました。試験で扱われるテーマの違い(実用英検は日常生活を含めた森羅万象、国連英検は時事問題)に加えて、2次試験のスタンスの違いもあると思います。実用英検の2次試験が、あらかじめ用意された5枚のカードの中からしかスピーチのトピックを選べないという偶然性に左右される方式であるのに対し、国連英検では、自ら書いた Interview Sheet に則って質問がなされます。「受験者の実力をなるべく引き出したい」という、試験運営側のポジティブな意図をより強く感じました。
次は、いよいよ国連英検特A級を受けてみたいと思います。現時点では国連関連知識など課題が多く、まだまだ合格には及ばないと感じておりますが、挑戦しがいのある目標です。このたびの A級の合格で、英語学習という終わりなき道に新たな道標を得たような心持ちです。感謝しております。
保有資格 » 実用英検 1級 英単語検定 1級 留学経験 » なし 職業等 » 公務員 |
■ はじめに
“Stay hungry. Stay foolish."
スケールの大きいこの言葉を英語学習に当てはめるのはやや大げさではありますが、かのスティーブ・ジョブズの名言の如く、現状に満足せず自分を信じて貪欲に勉学に励んだことが一つ実を結んだことを嬉しく思っております。
また、この度国連英検A級の合格の報とともに体験記の寄稿機会を頂けたことに深く感謝致します。
あくまでも個人的な所感であり、また一概に比較はできませんが、国連英検A級は実用英検1級と同レベル、あるいは少し上の力が要求されると感じております。
私の体験談が今後受検される方々にとってわずかでも参考となれば幸いです。
■ 受験の動機
英語学習を再び始めて 約3年半、TOEIC、実用英語検定等である程度の成果を出すことができたので、次の目標として定めました。
理由としては、いずれ海外で勤務することを視野に入れており、この試験を通じて英語能力のレベルアップはもちろん、国連の活動や世界情勢等に関する知識修得を図ることが出来ると思ったためです。
なお受験を決めた当時、特A級はまだレベルが高いと感じたため、ステップアップのためにまず A級を受験するに至りました。対策期間は約4か月間です。
■ 一次試験対策について
傾向やレベルを知るためにとにかく過去問を解きました。幸い、英検や英単語検定対策等で単語学習には力を入れていたので、仮にわからない単語が出題されても消去法である程度正答できるようになっておりました。個人的には単語問題にせよ文章読解にせよ、上級試験こそ語彙力強化は必須だと思います。
また正誤問題やその他の問題についても過去問を解けば出題パターンが見えますので、その観点からも私は過去問は有効であると思います。
あわせて国連の知識は公式テキストをある程度読み込み、知識問題をとりあえず最低 6、7点取ることを目標にしました。国連知識問題を細かいところまでカバーするには相当大変ですので、私は他の問題で点数を取るように努めました。
英作文については、本番の限られた時間でゼロから構成を練るのは至難の業です。私はトピックごと(環境、政治、貧困問題等)にわけて時事ネタを含めた短文を作って覚え、大体のトピックに対応できるようにしました。時間は相当かけましたが、ニ次対策にもなりますし、何より 20点の配点は重要ですので、最低 14点程度は取れるように努めたものです。
ちなみに、私が一次対策で主に使用した教材は以下のとおりです。
・A級の過去問(2013〜2020年度分)
・特A級の過去問(2019,2020年度分)
・SVL究極の英単語vol.4
・究極の英単語セレクション
・新わかりやすい国連の活動と世界(公式テキスト)
・UN News
■ ニ次試験について
自己採点の結果、合否は英作文次第という状況でしたので正直本腰を入れて勉強できるモチベーションはありませんでしたが、今思うと少しでも可能性があるならばこの期間により勉強すべきであったと思います。(鹿児島は結果の到着が遅く、郵送が届いたほんの 5日後が試験日でした。)
未だ一次の合格通知が来ていない時期でしたが、とりあえず面接シートを基に話す内容を決めました。他の受験者も話しておりますが、このシートにいかに自分の話したい(得意な)ネタを盛り込めるか、また本番で可能な限り自分の土俵に話を持っていけるかが鍵となると思います。
シートに書いた内容に基づき、知識として国連を絡めた時事ネタを可能な限り頭に入れ込みました。世界情勢全てを把握するのは不可能なので、まずはシートの内容とそれに付随して派生する問題を調べて、それを基に自作の英文を作り、ひたすら暗唱を繰り返しました。私は英検1級対策時にはオンライン英会話を利用していました。確かに本来は実際に誰かと話すのが望ましいでしょうが、今回は誰とも英語訓練をせず、ありのままの自分の実力だけで勝負しようと決めて臨むことにしていました。
普段の生活ではたまに英語を使う程度ではありますが、英語でのプレゼンテーション、ディベート等の経験もありましたので、少なからずアドリブ力には自信がありましたし、今回もその経験が非常に生きたと思っています。
また、あれこれと手を出す時間はなかったので、ニ次対策の教材は UN News と英字新聞、YouTube(各種海外 News の閲覧)だけしか使用しませんでしたが、シート以外の情勢にもアンテナを張り、英語で話せるように備えておきました。
■ ニ次試験本番
諸事情により、ニ次は東京会場まで足を運びました。なおここで最も初歩的かつ大切なことですが、体調管理が上手くいかず、中耳炎のため右耳がほぼ聞こえない状態で面接を受けることになってしまいました。当たり前のことですが、受検される方は体調万全で臨まれるのが大切です。
おかげで話しているときに自分の声のトーンがよく分からず、その不安の通り発音は点数が伸びませんでした。しかしある意味開き直り、笑顔でキャッチボールをすることだけは心掛けた結果、雑談を含めて計 10数問程度質問されたと思いますが、何とか聞き返しもなく終了しました。
面接シートには私が得意な環境問題のトピックをいくつか書き、結果としてシートの内容のみから聞かれたので功を奏しました。アイスブレイクを含め、以下私が聞かれた(話した)内容です。
・雑談(どこから来たか等の質問が4問程度)
・興味のあるトピックについて(シートに記載の内容から抜粋)
〜 ① 海洋汚染問題
② 温暖化問題
③ ロヒンギャ問題
について約1分ずつほど話し、またそれぞれに対して都度 2問ずつくらい質問が来たものです。
良かった点としては、英字新聞や US News から得た時事ネタの知識を淀みなく披露し、結果として Fluency は 8点、Knowledge は 9点であったことです。
国連のタイムリーな活動はもちろん、アントニオ・グテーレスの最近の発言やデータ等の具体的な数字等を上手く織り交ぜて話しました。
繰り返しですが、A級に関してはいかに自分の得意な分野の話で勝負できるかが大切ですので、面接シートの構成は大切であると思った次第です。
■ 終わりに
ニ次試験の帰り道、東京の某駅の高架橋下で折しも私が先程試験官に話したばかりのロヒンギャの方々が募金活動をしており、その時、恥ずかしながら国連英検を勉強しなければこのような方々のことも知らなかっただろう、と深く感じました。
冒頭述べた通り、一個人として、今後海外で勤務する機会があればもちろん、そうでなくとも不安定な世界情勢や国連の活動を捉えることは必須です。また個人的に「英語ができるだけの人間ではつまらない」と思い漠然と受けた試験でしたが、合格通知を頂いた今、国連英検にチャレンジして良かったと本当に思います。
今回、自分の準備していたトピックについて十分話すことができ、また面接官の方もとても優しい方でした。自己責任ではありますが、肝心な勝負の日に完全なお飾りになってしまった我が右耳を除けば、私は一次もニ次も 1回で突破することができ、今回は運も味方してくれたと感じています。
今後も勉強を続けて特A級も受験予定ですが、ただ試験を受けるだけでなく、国際人としてさらに視野を広げて、何らかの形で国連の活動や World Peace に貢献できる機会があれば幸いです。
結びになりますが、私の拙い体験談が今後受検される方々への参考となれば幸いですし、私自身もさらに上の目標に向かって勉学に励んでいきたいと思っております。